ミュージカル『タイタニック』
[映画紹介]一昨日は、東劇へ。観るのは、↓。これは、「エニシング・ゴーズ」「インディセント」と並び、ブロードウェイ・ミュージカルの3作連続上映のうちの1本。題名で誰でも分かるように、1912年のタイタニック号沈没事件を題材とした作品。ピーター・ストーン脚本、モーリー・イェストン作詞・作曲で、1997年4月23日ブロードウェイ初演。通算804公演のロングラン。トニー賞でミュージカル作品賞、ミュージカル脚本賞、作詞作曲賞、編曲賞、装置デザイン賞、の5部門を受賞した。初演の演出はグレン・ウォルフォードで、今回上映されるのは、2013年からのトム・サザーランドのロンドン新演出版。日本では、初演版は、2007年と2009年に、新演出版は、2015年と2018年に上演されている。舞台は二重構造で、下が客船内部で、様々な場面に変貌、上が客船の外部デッキで、これも様々な用途に変わる。タイタニック号の出航から氷山との衝突、沈没までていねいに描かれる。主な登場人物はタイタニック号の設計士、船長、船主、一等航海士、二等通信士、ボイラー係一等船客の客室係、楽士団のバンドマスター)一等船客のアメリカ人実業家夫妻、アメリカ人の二等船客、アイルランド移民の三等船客と婚約者など、俳優は複数の人間を演ずる。中には、ニューヨークに着いたら結婚式を挙げる予定のカップルや渋滞で乗り遅れて、命拾いをした客まで登場する。「船の悲劇ではなく、実際にそこに生きた人々の物語である」との演出意図で、船内で繰り広げられた様々な人間模様が重厚。特に、衝突後、沈没を待つ間、救命ボートの数が足りず、船内に留まって死を待つ人々の姿が哀切。音楽も美しく、胸を撃つ。休憩なしの2時間126分。良いものを観た、という感想が沸き起こる、素晴らしい作品だった。東劇では、11日まで上映。なお、ジェームズ・キャメロン監督の映画「タイタニック」とは、たまたま公開が同じ年になっただけで、何の関係もない。従って、ジャックもローズも登場しない。実は私は初演版をニューヨークで観ている。その時の演出で、客室が斜めになり、椅子やベッドや家具ががらがらと滑り落ちていく場面があったが、今回はその演出はなく、船尾が立ち上がり、そこにしがみつく人は出て来る。