普段食通風な生意気なことを言っていそうで、実は自分のお金での寿司屋のデビューは29、しゃぶしゃぶデビューは30、鉄板焼きステーキは33とデビューは遅い。
ところが天ぷらだけはデビューが早い。
くそ生意気にも21の頃からバイト先の近所に(本店は日本で一番高い天ぷら屋とされる)”銀座天一”の支店があって、当時の自分にしてみれば安くはないのに月イチくらいでよく通っていて、若いがゆえなのか、お店の人に覚えてもらって常連気取りでもいた。
天ぷらは寿司以上にテーブル席よりカウンター席での美味しさが全然違うし、その頃から天ぷらはカウンターで食べるものと決めていたし、なにより旬の魚貝や野菜といった食材がよく見えるしで興味深々だったのだ。
天ぷらは旬の取入れが他の料理より一段と早くて、1月にはたらの芽やふきのとうなどの山菜、4月には鮎、8月には松茸。
そんな季節を一歩先ゆく粋な天ぷらが大好きだし、食材は寿司よりも新鮮でないと美味しくないところが好き。
しかもこれくらいのちゃんとした店の天ぷらは胃もたれも胸焼けもしない。
その頃の店長が今は独立して天ぷら屋を営んでいるのだが、遠いけどたまに寄せてもらう。
これが天一よりもずっと割安で、熟練の技が冴える天ぷらは今でも感動するくらい、ものすごく美味しい。
よく考えたらかれこれ24年くらいこの人の天ぷら食べてるし、向こうは自分の歴代彼女や奥さんをを知っている微妙な関係。
水槽で泳いでいた巻海老とその頭
※体長10~15cmの車海老のことで、(ちゃんとした)天ぷら屋ではこの巻海老を使う
アスパラと海老のすり身入りの椎茸 目鯒(めごち)天ぷらでしか見ない食材
椎茸はジューシーで死ぬほど美味しかった
天ぷら的には時期的にもう終わりの鮎 穴子と新玉ねぎ
個人的には最後に出てくる穴子の半分まではずっと塩、レモンと、(天一でしかお目にかからない)カレー粉を食材によって使い分けて食べる。
カウンターならではのホクホク、サクサクを味わうにはこれが一番だし美味しいと思うから。
そして、最後に大量の(油の分解作用があるらしい)大根おろしを器に入れて天つゆをドバッとかけてそれだけをズズズッっと頂いて、あとは食事。
かき揚げと同時に食事が出てくるが、そのままのかき揚げと白いご飯か、天丼にするかか、天茶にするかを選べるのが一般的。
この日の〆はわさびの香りが利いた天茶。