ホールフーズはオーガーニック食材をリーズナブルな価格で提供する食品スーパーだ。 NY市内ではマンハッタン、ブルックリンの比較的高所得者層が住むエリアに出店している。 筆者が住むクイーンズにはまだ一軒も無い(笑)
ここは食材だけでなくcooked foodやサラダバーがとても充実していて昼時にはランチを買いに来る客でいつもごった返す。 最近は雑誌にでも紹介されたのか日本人観光客の姿もある。
NYに来た当時、食材は近所の安スーパーを利用していた。 しかし味・品質は安かろう悪かろうでとても口に合うものではなかった。 一方マンハッタンにはグルメ食材の店がいくつもあり、ハム、チーズ、サーモン、肉、新鮮野菜など、プレミアムグレードの美味しい食材が豊富にあった。 しかし価格は2倍3倍でおいそれと利用できるものではなかったのだ。
そんな折、ロングアイランドのある町でフレッシュフィールズという名前のオーガニック食材スーパーがあることを知った。 早速行ってみるとマンハッタンのグルメ店では手が出ないような食材が良心的な価格で提供されているではないか!
私たち夫婦はすぐにフレッシュフィールズのファンになった。 そしてクイーンズから20キロも離れたこの郊外の店に毎週買い出しに参じる日々が始まったのだ。
しばらくしてフレッシュフィールズがホールフーズグループと改名しナスダックに上場したことを知った。 とにかく好きな店だったのでマジで応援したい思いから何とこの会社の株を購入することにした。 当時は貧乏生活で貯金も乏しかったにも拘わらず意を決しての決断だった。 その時の株価は40ドル。
可笑しなもので株主になるとこれまでの客の視点だけではなく、経営的なアングルから店をよく観察するようになった。 自社ブランドのスナック菓子で塩気のきつすぎるパックを見つけたら改善のメールを送ったりもした。 ホールフーズで買い物を楽しみ、株主として応援する日々が続いた。
一進一退だった株価はある日1株が2株に分割されるスプリットをした。 株数は2倍に、一株の価値は半分の20ドルになったのだ。 しかしこれは成長する株の典型的なパターンで案の定それから一年くらいかけて株価は元の40ドルに回復。 保有株の価値が倍になり私たちの期待に応えてくれた。
それから数年間、ホールフーズは着実に成長を続けた。 ロングアイランドだけでなくコネチカット、ウエストチェスターといった高所得層が住む郊外に店舗を増やしていく。 そして満を持してマンハッタン一号店がオープンした。
ホールフーズが華々しく業容を拡大していく一方で、私たちの株主としての気持ちに変化が表れた。 何と言うか、成長しすぎたかな、と。 そしてリーマンショックが世間を騒がせ始めた頃、家のキッチンとバスルームをリフォームするのに合わせ、長年見守ってきたホールフーズの株を全て処分し、その売却益を改装資金に充てた。 株価は140ドルになっていた。
ホールフーズはその後もNY市内の店舗を増やす拡大路線を続けたが、株価は徐々に低迷していった。 不況の要因もあるが投資家的に見ると成長性がピークアウトしたということのようだ。 そしてそんなホールフーズに先月大きな転機が訪れた。 何とアマゾンによる買収が発表されたのである。 買収価格は一株42ドルと発表されている。
オンライン小売世界一のアマゾンは自社のクラウドシステムを他社に提供したり、現実書店を展開するなど、事業の多角化を推進している。 そんな流れの中で今回のホールフーズ買収は驚きではあるが納得する部分もある。
皮肉なことだが実はアマゾンは昔買うかどうか迷った株の一つだった。 商品やサービスが現実に目に見えるホールフーズと違ってバーチャルなアマゾンはどうにも現実味を感じられず購入に至らなかった。 今となっては大後悔? いえいえ。 アマゾンは大いに利用させてもらっているが、会社として好きかと聞かれると???だ。 でもあの時もしアマゾン株を買っていれば今頃は、、、とも思っちゃうよね(笑)
