・・・寒い・・・
やっと長い夜が明けた・・・。
ホテルのヒーターが、何べんやっても冷風が出てくる・・・。
ダウン以外の服を全部来て寝たけど、頭が寒かった。
ハイエースで寝てるみたいじゃん。
そもそも、なんでこっちはダウン着こんでブルブルしてんのに、アメリカ人はぺらっぺらなシャツ一枚でワハハハ笑ってやがる。
さて、今日はホエールウォッチングだ。
ウチのメンバーは今回のホエールウォッチングに並々ならぬ思いで臨んでいる。
過去、和歌山と高知で3回大海原に鯨の雄姿を見に繰り出したが、全てでスカっている。
4回目、このモントレーで見れなければもう見ねぇ!と誓った。
昨夜のオールド・フィッシャーマンズワーフから朝10時出港。
今まではまんま漁船だったけど、今回はちょっと大きめの鯨専用船。
後ろのデッキに陣取り、走ること一時間。
外洋に出るとうねりがすごい。
そんな中、早くも鯨の姿を発見したようで船を止めてガイドの指す方を見ると、
おお、潮を吹いた!
(これ以上無理!)
かなり遠いけど確かにいる。
必死で探していると、鯨どころじゃない人たちがポツポツ出てきた。
死にそうな顔した人達が後ろに集まってきて、手すりから顔を海に出してる。
確かにものすごいうねりで、まともに立ってられない。
一方で陽気なガイドが「ほら、姿を現したわよ!ワッホー!」
一方で青い顔した人が「それどころじゃねぇよ」
気が付くと、カイも辛そうな顔になってる。大丈夫か?
しばらくは座り込んでたけど、限界らしく「船酔いチーム」の仲間に入って手すりから顔を出した。
そのころには、後ろのデッキもう大変だ。
みんな吐きまくり。しかも外国人の吐き方が豪快。
「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」に出る「リアルに吐く人」みたい。
あれ見た時は「そりゃあ大げさだろう」と思ったけど、まさにあれ。
そうなるとジュンも気持ち悪くなって来たようだから、揺れの少ない船の中心に座らせた。
アケちゃんも後ろで蝋人形のようにひたすら遠くをみたまま動かない。
タイチはどうした?と室内に入るとソファーでみんなダウン。
なんてハードなホエールウォッチングだ・・・。
ただ、そんな中でもツワモノはいた。
この揺れの中、インド人の女の子はキレーな爪でスマートフォンをいじり、
アメリカ人の男の子はプリングルスを5枚重ねで口にほおばっている。
彼らの三半規管はどうなってんだ?
修羅場と化しているデッキの中でも、大門軍団のようなサングラスをしたショーンコネリー風の大男が特にひどい。
吐きながら号泣。
連れの女の人が介抱しているけど、もうこの世の終わりのような表情ですわったままピクリとも動かない。
そんな中でも、船は容赦なく鯨を追いかけガイドはテンション高くアナウンス。
こうして港を出てから3時間後、ようやく陸に戻ってくることができたのでした。
・・・なんか、鯨ウォッチングより人間ウォッチングのほうがおもしれぇ・・・。
(最後に現れたイルカ)
に上がりタイチファミリーが休憩している間、カイが
「吐いたからハラヘッタ」
と言ってジュンと姿を消し、しばらくするとカップを片手に戻ってきた。
「片っ端からクラムチャウダー試食して、やっぱり昨日の店が一番うまかったから買おうとしたら『テイクアウトはできない』って言われたから、できる店を探して買おうとしたらパンで出してきそうだったら慌ててカップにしてくださいって言ったよ」
と言う横で、ジュンがパンをかじってる。
よく食えるな・・・。
どうやらカイも買い物くらいは平気でできるようになってきたようだ。
その後はウチの旅では外せない水族館に行き、帰りは内陸の道でサンフランシスコに着いたのはもう9時になっていた。
「夕飯どうすっか?」
「本場の『カリフォルニアロール』食おうぜ」
韓国人の握る回転寿司に行き、アボカドやらカニ風味やらにマヨネーズがしこたまかかった巻物をひたすら食べた。
「うん、これはこれでありだな」
と、妙に納得するのでした。