弁護士は、シンプルに法律を読むのが得意です。 | サラリーマン弁護士がたまに書くブログ

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2019年7月にうつ病を発症したことをきっかけにブログを始めたサラリーマン弁護士が、書きたいことをたまに書いています。

 

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毎日ご覧くださってありがとうございます。本当に励みになっています。

 

【 今日のトピック:法律を読む 】

 

生意気なタイトルで申し訳ありません。しかし、書き始めちゃったので、少し書いてみます。

 

「法律に書いてあるから!」ってよく聞きますが、「法律に書かれている」は、かなり説得力のある根拠として用いられています。

 

例えば、「人を殺したら犯罪になるって、法律に書いてある!」という感じです。

 

法律に書いてあることを根拠に、自分の主張を相手に受け入れさせるのは、かなり一般的な手法です。

 

じゃあ、法律には、どんな言葉使いで、どんな風に書かれているかというと、それは法律を実際に読んでみなきゃわかりません。

 

今は、「殺人罪」とググれば、すぐに条文が出てくるので非常に便利ですが、検索が一般化する前の時代は、殺人罪がどこに規定されているかを知っていることも、弁護士の大きな価値でした。

 

すみません、余談です。

 

さて、殺人罪は、刑法の199条に規定されています。

 

(殺人)
第百九十九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

 

とてもシンプルな条文です。そんなに難しくないと思います。

 

「はいはい。人を殺したら、犯罪になって、最高で死刑になり、どれだけ軽くても、5年以上の懲役刑になってしまうのね」

 

ということが、素朴に理解できます。

 

ここまでは、弁護士も、それ以外の人たちも、理解に差は出ません。弁護士だって、全く同じように思います。

 

しかし、弁護士は、ここから先に、「人を殺した」の意味を考え始めます。

 

例えば、刑法には、「傷害致死罪」が規定されています。

 

(傷害致死)
第二百五条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。

 

「人を殺した」場合は、最高で死刑になってしまう可能性があるのに、「身体を傷害し、よって人を死亡させた」場合は、死刑になることはなく、しかも、懲役の下限が3年にまで下がっています。

 

犯人の行動に起因して、最終的に人が死んでしまっているのは、殺人罪と傷害致死罪で全く同じなのに、刑罰のレベルは全然違います。

 

だったら、「人を殺した」と「身体を傷害し、よって人を死亡させた」は何が違うのか?ということを考えなきゃいけなくて、そこに考えが及ぶのが弁護士です。

 

条文を文字通りに読むだけでなく、そこに書かれている言葉の意味(=定義)をしっかり調べる。そして、その調査結果を、目の前の紛争に当てはめて、どういう結論になるか説明する。

 

そんなスキルを弁護士は身につけているので、やっぱり、読む深度が違います。

 

こういった、条文を理解する「深さ」が違うだけでなく、シンプルに、弁護士じゃないと、条文を最後まで読み切れない、というのもあります。

 

僕は今、児童相談所で働いていて、児童福祉法を読む機会が多いのですが、例えば、児童相談所でよく使う条文の1つに、児童福祉法27条1項2号というのがあります。

 

第二十七条 都道府県は、前条第一項第一号の規定による報告又は少年法第十八条第二項の規定による送致のあつた児童につき、次の各号のいずれかの措置を採らなければならない。
二 児童又はその保護者を児童相談所その他の関係機関若しくは関係団体の事業所若しくは事務所に通わせ当該事業所若しくは事務所において、又は当該児童若しくはその保護者の住所若しくは居所において、児童福祉司、知的障害者福祉司、社会福祉主事、児童委員若しくは当該都道府県の設置する児童家庭支援センター若しくは当該都道府県が行う障害者等相談支援事業に係る職員に指導させ、又は市町村、当該都道府県以外の者の設置する児童家庭支援センター、当該都道府県以外の障害者等相談支援事業を行う者若しくは前条第一項第二号に規定する厚生労働省令で定める者に委託して指導させること。

 

かなり長いのもそうですが、これ、どこでどう区切ればいいか、かなり難しいと思います。

 

これ、まずは、27条1項の「柱書」と呼ばれる部分があります。それは、「二十七条」のすぐ横から始まっている部分です。

 

ここで、「前条第一項第一号の規定による報告又は少年法第十八条第二項の規定による送致のあつた児童につき」とあるので、このような「児童」について、「次の各号のいずれかの措置を採らなければならない」と書かれていて、その「措置」の1つとして、2号が規定されています。

 

難しいですね笑。すみません、2号の説明に移ります。

 

「まず、児童又は保護者を児童相談所その他の関係機関若しくは関係団体の事業所若しくは事務所に通わせ当該事業所若しくは事務所において」とありますが、これを指す場面をすべて書くと、

 

・児童を児童相談所その他の関係機関の事業所に通わせ当該事業所において

・児童を児童相談所その他の関係機関の事務所に通わせ当該事務所において

・児童を関係団体の事業所に通わせ当該事業所において

・児童を関係団体の事務所に通わせ当該事務所において

・保護者を児童相談所その他の関係機関の事業所に通わせ当該事業所において
・保護者を児童相談所その他の関係機関の事務所に通わせ当該事務所において
・保護者を関係団体の事業所に通わせ当該事業所において
・保護者を関係団体の事務所に通わせ当該事務所において

 

これ全部(8パターン)を、↑の言葉だけで表しています。

 

そして、「又は当該児童若しくはその保護者の住所若しくは居所において」と続きますが、これは、↑のように通わせるのではなく、

 

・当該児童の住所において

・当該児童の居所において

・その保護者の住所において

・その保護者の居所において

 

のどれか(4パターン)を指します。ちなみに、「又は」と「若しくは」は、「及び」を含むので、児童の住所と保護者の住所が一緒でも、OKです。

 

で、次は、「児童福祉司、知的障害者福祉司、社会福祉主事、児童委員若しくは当該都道府県の設置する児童家庭支援センター若しくは当該都道府県が行う障害者等相談支援事業に係る職員に指導させ」ですが、これは、

 

・児童福祉司に指導させ

・知的障害者福祉司に指導させ

・児童委員に指導させ

・当該都道府県が設置する児童家庭支援センターに係る職員に指導させ

・当該都道府県が行う障害者等相談支援事業に係る職員に指導させ

 

この全て(5パターン)を指しています。

 

さらに続きます。「又は市町村、当該都道府県以外の者の設置する児童家庭支援センター、当該都道府県以外の障害者等相談支援事業を行う者若しくは前条第一項第二号に規定する厚生労働省令で定める者に委託して指導させること。」ですが、これは、

 

・市町村に委託して指導させること

・当該都道府県の設置する児童家庭支援センターに委託して指導させること

・当該都道府県以外の障害者等相談支援事業を行う者に委託して指導させること

・前条第一項第二号に規定する厚生労働省令で定める者に委託して指導させること

 

この全てを指します(4パターン)。

 

つまり、これは、結局、都道府県が、柱書に記載されている児童について、児童福祉司などに指導させる措置、あるいは、誰かに委託して指導させる措置、のどちらかを採る、という条文なんですが、そのパターンの合計は、

 

・8パターン(通わせ)×5パターン(指導させ)=40通り

・4パターン(住所又は居所)×5パターン(指導させ)=20通り

・4パターン(委託して指導させる)

 

の64通りです。この条文は、について、定めています。

 

こういった、法律の分解と、パターン分析が、長い条文の理解には不可欠で、こういった作業こそ、まさに職人技で、専門職の為せる技です。

 

弁護士は、シンプルに、こういった「条文を読む」が得意です。「条文を読む」という、一見して単純に思える作業に職人技が光るのです。

 

「条文を読める」という、めちゃくちゃシンプルなスキルに磨きがかかっているのも、法律のプロである弁護士の大きな価値だと思っています。

 

それではまた明日!・・・↓

 

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