無権代理の意味 | サラリーマン弁護士がたまに書くブログ

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【 今日のトピック:無権代理 】

 

さて、昨日は、「利益相反取引」について書きました。

 

世の中には、自分の借金の担保として、子どもの不動産に抵当権を設定する親がいて、そんな身勝手な親の所業を放置していいの?と思った最高裁判所は、「そんなときは特別代理人を選任してね。さもなくば抵当権設定契約は無効にします。無効になるとはいえ、銀行は親権者に対して損害賠償を請求できるよ」と認めました。

 

結局、自分の借金の担保として子どもの不動産に抵当権を設定するのは、「利益相反取引」に該当し、特別代理人の選任が義務付けられ、特別代理人を選任しない場合は無権代理となる、というのが結論です。

 

うーん、難しいワードがいくつも出てきましたが、「特別代理人」とは、昨日も説明したように、親権者の代わりに子どもの代理人になる人です。

 

利益相反取引の場面では、親権者が子どもの代理人になれないので、その代わりに、裁判所が選任した「特別代理人」(弁護士がなることもあります)が、子どもの代理人として、契約を結びます。

 

「無権代理」というワードが出てきましたが、これは、「代理権がない代理人」を意味します。

 

「代理権がない代理人」ってどういうこと?ですが、例えば、父親が亡くなったので母と子ども3人で話し合い、長男が父親の遺産を全部取得すると合意したので(遺産分割協議)、不動産の名義を亡くなった父から長男名義に変更するため、司法書士に依頼し、印鑑証明書と実印をその司法書士に預けたところ、その司法書士が、実印と印鑑証明書があるのをいいことに、名義変更するどころか、その不動産を売却してしまった、なんてのが「無権代理」の典型例です。

 

この「売却」、つまり、「不動産の売買契約」がどうなるか、というのが「無権代理」の話で、これは原則として無効となります。

 

名義変更を依頼しているので、司法書士には名義変更する権限(代理権)はあるのでしょうけど、売却する権限(代理権)はありません。

 

だから、表面上は、代理人として売買契約を結んだとしても、その契約が土地の持ち主本人も拘束することはありません。

 

この「契約が土地の持ち主本人は拘束しない」というのを、「効果帰属しない」と法律の世界では呼んでいます。

 

売買契約の効果が、土地の持ち主本人に帰属しない。これが、「無権代理」となった場合の法的な結論です。

 

ただ、無権代理の場合、悪いのは無権代理人です。自分に代理権がないのに、代理権があるかのように装って契約を結んでいるわけですからね。

 

契約が持ち主本人に効果帰属しないとなると、不動産を買った買主はたまったもんじゃありません。

 

代理人だというから、それを信じて契約を結び、お金も払ったのに、フタを開けてみたら、代理権もないのに勝手に売買契約を結んでいて、それが本人に効果帰属しない結果、せっかくお金を払ったのに不動産の名義が自分(=買主)に変わりません。

 

変わらないなら変わらないで、お金を返してもらう必要があります。それが「無権代理人の責任」というやつで、無権代理人である司法書士は、受け取った代金を全額返金しなきゃいけません。

 

昨日は、「無権代理だと契約は無効になる」と、サラッと書いてしまいましたが、正確には「無権代理になる」です。

 

この「無権代理になる」の意味がわかりにくいので、今日は少し丁寧に説明しました。

 

さて、昨日は最後に「親権の濫用について説明する」と言っておきながら、今日は無権代理について説明してしまいました汗

 

明日また、親権の濫用について説明しようと思います。

 

それではまた明日!・・・↓

 

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