南部ではカーニバルをFaschingと呼ぶ。
といってもバイエルンではケルンやマインツのような北の都市ほどの盛り上がりを見せない。
それでもパレードがあるとかで、現地在住の日本人に誘われてミュンヘンに行った。
たまたまFaschingdienstagといって一番盛り上がる日だった。
いろいろな仮装をした人たちが街にあふれかえっていて愉快だったけど、パレードとかそういったものはなかった。
これは日本の祭りと一緒で、見るよりやるのが楽しいんだろうなー。
友達の家に向かおうとしたところで、前からカメラを首からぶら下げた、典型的観光日本人の姿が目に入った。
あれ、なんか見たことある。
と思ったら東京の大学のドイツ語の先生だ!!
別に特に仲がよかったわけではないけど、せっかく会ったというので一緒にお食事をすることに。
おごりというのでこっちものった。
友達にお勧めのバイエルン料理のお店を教えてもらい、遅めのランチ。
しかし、先生かっこ悪すぎ!
生徒の前だというのに値段にびびり過ぎ・・・。
「あ、高いなー、これ。好きなもの選んでいいけど、このページからにしてね!」
「半分こしよう。そっちも一口くれる?」
とかおっさんに言われるとなんだかこっちが切なくなってしまった。
特に実りある会話ができたわけではないけど、お腹は満足して偶然の再会にお別れ。
ドイツで起こった一番奇妙な出来事だった。
ミュンヘンといえば、今ロバートが実家にいる。
もしかしたら会えるかも、というのがミュンヘンに来たほんとの目的。
電話したら
「今ミュンヘンなの?会おうやー」
ということに。
友人宅の訪問もそこそこに、9時にロバートととの待ち合わせ場所、Marienplatzへ。
日本語で話せるとはいえ、やっぱり気の合わない友達と過ごすより、ドイツ人ロバートといるほうが楽しいや。
何度も来たことのあるMarienplatzだけど、なんだか今日は違う。
粉々にちったガラス瓶や紙ふぶきから昼間のばか騒ぎがうかがえたけど、今はもうひっそり静まり返ってる。
でも一番新鮮だったのは、ここでロバートと待ち合わせて、ハグしてキスしたこと。
友達と車で来ているとかで、ロバートの実家まで乗せていってもらうことに。
「日本人の彼女に興味心身だから」
って言われてちょっと緊張。
ちょっとラテン系のアンディーと、色素が薄くてそばかすがかわいいフローを紹介された。
二人ともゆるめのB系で、一目でさわやかドイツ人タイプじゃない、と分かった。
ロバートのうちはミュンヘン郊外のOttoburnnにある。
高速を走ってしばらくして閑静な住宅街へ。
一見普通の玄関から一歩踏み入れて唖然としてしまった。
父親が大学教授だっているのは知っていたけど、これは想像以上・・・!
もはや城だった。
床も壁も大理石で、10人がけの食卓、応接セットが2組、さらにグランドピアノまである。
調度品もこれでもかと言うほど超豪華。
日本マニアを感じさせる、高級そうな日本美術があちこちに飾ってある。
さらに地下にも日本美術コレクションルームや、お母さんの出身国ブルガリアをテーマにしたバーまであった!
ウェーバーさん宅のようなさりげない上品さはなくて、こてこてというほど金がかかった家だった。
アンディーとフローはちょっとしてから帰ってしまった。
フローと二人で話す機会があったけど、穏やかで優しい人だった。
二人が帰ったあとでロバートから何話してたの?って聞かれた。
「アンディーとロバート何してるのって聞いたらマリファナ探してるって言ってたから、日独マリファナ事情について話してたよ。」
って言ったらロバートちょっとあせる。
「あいつ余計なことを!」
ってあたしに知られたくなかったみたいだったけど、別にこっちは驚かなかった。
まあそうだろうなあ、というかんじ。
地下の貯蔵庫に恐ろしくたくさんの日本食品が保存されてたので、夜食にカレーを作ることに。
カレーなんてルー溶かすだけだから誰でもできるのに、ロバート感動。
和食大好きだからほんとうにうれしいらしい。
「料理がうまいから、前より好きになっていってる」
って言ってドイツのことわざを教えてくれた。
Liebe geht durch den Magen
というんだって。
単純!
料理中に、アンディーとフローについて話してくれた。
ロバートの親友だからどうせ変なんだろうなあ、と思っていたけど想像以上!
アンディーはHypochonder(心気症)で、いつもどっか病気だと思って大げさに騒いでるらしい。
一時間もお風呂に入るのが日課で、バスルームはクリームやらなんやらケア用品が女の子みたいにずらーっと並んでいるらしい。
そしていつも待ち合わせに遅刻するか、来ない。
フローはといえば、いつもvertraeumt(ぼーっとしてる)なコンピューターと数学オタクで、ロバートとアンディー以外、こちらの世界とほとんどコンタクトがないらしい。
3人の中で唯一の朝型人間、というか朝しか起きてなくて午後からずっと寝てる。
さらにいつも財布を持ってなくて、人にたかってるSchnorrer(たかり)らしい。
料理が趣味でいつも何か作ってるけど、材料は全部アンディーの。
しかもしゃべり方もbuerokratisch(政治家っぽくて偉そう)。
彼の夢はヒッチハイクとタクシーを一つにしたビジネスを展開することらしく、いつもそのことについて語っているんだって。
さらに二人とも一度もまともに女の子と付き合ったことがない!
アンディーは一度だけ逆ナンされたことがあるけど、一晩でポイされてそれ以来女の子が怖くなってしまったとか。
大学の1ゼメスター目の最初の授業で、女の子と目が合ったらしくそれ以来怖くて一年間大学を休んだらしい!
フローはそんな話もなく、ほんとに経験してないみたい。
二人ともあまりに変だから、3人の中ではロバートが一番普通なんじゃ?と思ったら本人曰く
「俺が一番変」!
ミニマルオタクで一日中パソコンに向かってミニマルをダウンロードしていて、いつもスケベな話と親父ギャグばっかり。
80年代とダサいものをこよなく愛しているところもやっぱり変。
いつも3人で一日中アンディーの部屋にいて、ロバートはダウンロード、フローは寝てるか料理、アンディーは薬飲んだり体をケアしたりして過ごすらしい。
変なドイツ人と知り合えるのを期待してたけど、これはもう期待以上!!
3人そろうともはやマンガだ。
次の日朝早くロバートはプラクティクム。
Karlsplatzのすぐ近くのものすごく古くてでかい建物が実は裁判所だった。
そこで裁判官のお手伝いをするらしい。
あほに見えてやることはやってるから尊敬してしまう。
家に帰ろうと思っていたけど、
「買い物でもして終わるのまってて!」
って頼まれたから1時までミュンヘンをふらふらしてた。
やっぱりミュンヘンは都会。
ちょっと東京っぽくて楽しい。
プラクティクムが終わってから二人でごはん食べて、アンディーのうちへ遊びに行った。
評判どおりというか期待通り、アンディーは風邪風邪騒いでた。
薬飲んだり、お茶飲んだり、ドロップなめたり、いろいろしてた。
その一方でマリファナ吸ってるからなー。
そしてロバートはほんとにずっとひとりで楽しそうにミニマルをダウンロードしてる。
聞いた話どおりで面白かったけど、あたしは何していいのか分からず座ってた。
アンディーに気を使っておいとますると、ロバートからもっとドイツ語しゃべれって怒られた。
ロバートの前だとなんか恥ずかしくなっちゃうけど、たしかにこれじゃいつまでたってもうまくなんないや。
せっかくドイツ人の彼氏いるのに。
結局ロバートの家に二泊した。
広いからロバートも寂しいのかな?
また週末に来てって言われた。
前よりずっと仲良くなったし、ロバートもあたしのことを好きになってくれてる。
でもやっぱり自分に自信が持てないよ。
あたしのこと何にも知らないから、もっと話してって言われても話すことない。
みんな変だから、あたしも変なのを期待されるけど、ほんとに平凡なんだもん。
今まで好きって思っていたことも、ロバートの前ではすごくくだらないことに思えてきてしまうし。
今までこんなに自分の世界もった人たちと付き合ったことがなかったから、自分の表現の仕方に困る。
さらに今まで恋愛において考えたこともない、家格の違いについて真剣に悩んでしまった。
住む世界が違う!