Starless -4ページ目

永遠の謎

ひとが

生れ落ちた瞬間

世界は

永遠の謎になる

これを解けと

これを賛美し

これを敬い

これを畏れよと

呼ぶ声を聴く

なんと

周到な準備

なんと

儚く美しく

苛酷で無情な

エネルギーの流れ

様々な

数式で

言葉で

色で

音階で

世界の翻訳を試みる

成し得ても

成らずとも

その行為が答のひとつ

惜しむことも

悔いることも

大いなる計画の一部

時が満ちるまで

繰り返し続く

謎解きの旅

去り行くひとびと

やはり

私は無力だ

小心で姑息

去り行くひとの

後姿を見送りながら

あらためて思う

今はただ

去ったひとを想い

私は私の

できることをしよう

私のなかに

去り行くひとびとの

面影を刻もう

メメント

自分で幕を引きたいと

願う者は多いようだが

なかなかどうして

そう都合よくいくものじゃない

それは

一番望まぬ時に

一番望まぬかたちで

訪れるものだ

始まりと同様に

見えないものが

見えるようになり

必要でなかったものを

欲するようになり

手に入れたものを眺め

足りないものに気づく

そして

成すすべは無い

とても

シンプルだ

不服は言わないが

坐り込む気もない

とにかく

ここにヒトとして

居ることを

自分としては

気に入っている


ああ

そこにいるのか

もう少し待ってくれないか

私にもささやかながら

しておきたい事が

あるのでね

ヒトであるうちに

ヒトである事を

維持できるうちに

言葉

けして

口にしてはいけない

言葉が在る

余りに便利で

余りに広い意味を持ち

余りに美しい

それを口にすれば

総てが許される

目の前に

楽園が現出する

かのような

誰もが知っている言葉

使う度に

力を無くし

使う度に

毒に変わる

思い出せ

言葉のまえに

何が在ったかを

考えろ

その言葉の隙間から

零れ落ちたものを

断崖

お前は

最も危険な

綱渡りをしていると言うが

お前の背中には

命綱がしっかりと

結び付けられているように

私には見える

崖は 気づくとそこに在る

何処にでも

足を踏み外す危険は

何時も在る

ああ だから

美しいのか

ここからの眺めは


私の崖に

綱が張られた時

私はその眺めの美しさを

味わうことができるだろうか

美しいと

感じることができるだろうか

誕生

おまえという種が

地にまかれ

いたいけな

双葉を出し

育ち始めたころを

私は知っている

長い歴史の

繰り返しのなかで

手から手へ

受け継がれてきたもの

それら総てが

おまえに託され

おまえはおまえの枝に

おまえの葉を繁らせ

おまえの花を咲かせ

おまえの実を結ぶ

なんという歓び

俯いて

感謝する

おまえの誕生を。










解体

あるはずだ

さがせ

とびらを

ひらけ

じぶんのてで

おまえは

じゆうだが

じゆうでなく

ひとりだが

ひとりでなく

むりょくだが

むりょくでない

おまえにあるのは

うちと そとだけ

むいみだが

むいみでない

はじまっておわる

かこからみらいへ

したからうえへ

こちらからあちらへ

めも

みみも

くちも

うがたれたあな

とりこんで

はきだし

せいせいし

しょうめつする

えらべ

じぶんで

つくれ

じぶんを

ひらけ

とびらを

じぶんのてで

遠い未来に

散り散りに ばらまかれ

ひとつひとつが 巧妙に隠され

埋め込まれ

異なった時の

異なる場所で

私の言葉を 受け継ぐもの

その時は

その場所では

それと解らず

意味を成さず

役立つ事も無く

忘れられてしまっても

いつか

それらが

繋がりあった時

成就するもの

遠い未来に

託す夢。

煌くもの

きら と光る

気づかずにいたものに

眼を奪われる

ああ

こんなにも

透明で清い

そして

痛々しいものの存在が

手荒く掴めば

たやすく

壊せそうだ

その叫びもまた

うつくしいに違いない

もう少し

眺めていようか

たかだか

限られた

この世界でのことだから

自切

壊された

わけではない

自分で

壊した

壊されるのを怖れ

その前に壊した

愚かだが

お前らにやるくらいなら

その方がましだ

好きにするがいい

それは只の肉片

私の一部だったもの

喰い散らされても

痛みは無い

馬鹿な奴ら

そんなものが欲しいか

呉れてやる

満足しろ

知らないだろう

それが何を意味するか

永遠に

お前らには解るまい

私は再び

造り始める

自分を

増殖させる

何度でも

私は

怖れない