Starless -5ページ目

うたうねんど

あぁ と

ちいさなこえをあげ

うまれてきた

ねんどのなかから

うたうために

せいいっぱい

くちをあけ

せのびして

こえをだす

あぁ と

ふしぎなこえで

うたいだす

ちいさなみみと

ちいさなての

うたうたいのうさぎ

あぁ

屍鬼

あの

黒く冷たい

錆びついた鉄の箱

何処に埋めたのか

なにしろ

余りに夥しい数なので

忘れてしまった

私が

殺した

おぞましいもの

深く深く埋めた

気づかれぬよう

未だ

生きて

蠢いているか

それとも

既に空なのか

そうだな

いずれ

掘り出すさ

それが

私の愉しみになった時

私がそれらと

語り合う気になった時

私が埋めた

あの黒い箱

夥しい数の

私の死体。

パラサイト

私を形造る体細胞の

ひとつひとつに

お前が居る

私の中に居て

私の生命を育み

私と共に生きる

遠い昔に寄り添い

同じ道を歩むことを望み

私の意識の

あずかりしらぬところで

私に呼びかけ

私をうごかし

私を通して

世界を夢見る

お前の記憶に

私の記憶が重なり

私達は

無限の世界を

歩いていく。

ぼくのいぬ

あしをなめる

あついながいしたで

ちゅうせいのあかしを

あからさまにしめす

ぼくのいぬ

よべばくる

どこにいても

ついてくる

どんなばしょにも

わきめもふらず

いっしんに

ぼくだけをみつめる

ぼくのいぬ

もしも

あぶないめに

あったときには

たすけてくれる

どんなにひりきでも

じぶんをぎせいにしても

ぼくのために

ぼくだけのために

ぬれたはなさきで

ぼくのにおいをかぎ

あついながいしたで

ぼくをあじわう

ぼくのいぬ

ぼくのほしいいぬ

おまえ

なれるかい

魔王

夜を疾る

木々をざわめかせ

鳥や獣たちや地を這うものを驚かせ

ひたすらに

夜を疾る

魔王

ツレテイク

オレノモノダ

シロクウツクシイチイサナタマシイ

コワレヌヨウニコワサレヌヨウニ

ヤスラカナネイキヲサマタゲヌヨウニ

血走った眼で息を乱し

牙を噛み締め

傷だらけの脚で

ただ疾り続ける

何処へ

オレモシラナイ

オレガイルベキ処

コノウツクシイモノガイルベキ処へ

荒い息の合間に漏れる

低い唸り

歓喜ではなく

胸締付ける痛み

夜の中を疾る

魔王

ツレテイク

オレノモノダ

オレノモノダ

ダレニモワタサナイ

魔王は疾る。

踊る男

その手は

神に向かって伸ばされ

その指先は

神に触れることを願い

跪き 弓なりに反らせた身体は

ひとつの言葉を成す

サンクトゥス

彼は神であり

彼自身が 神への供物

一瞬が永遠なのだと

時が滅ぼすものは 何もないのだと

我々は

真実の影にすぎないのだと

彼は告げる

地上の 

苦しみも 歓びも又

真実の影。

ビースト

獣が



檻を出る

長い間ずっと

囚われていた

自分が何者であったかも

忘れ果て

与えられた わずかの

充足と

玩弄に

耐えていたのか

歓んでいたのか

闇の中にうずくまり

眼を光らせ

息を潜め

嘆くことも 望むこともせず

過ぎていく時の匂いを嗅ぎ

ただ 其処にいた



崩れ落ちた壁を眺め

初めて気づく鉄柵の向こう側

そこに在るのは

手を伸ばせば掴める世界

望むもので自分を満たせる世界

獣は知っている

自分の爪が

自分の牙が

何の為に有るのかを

遠吠え

ないている

だれが

ねこか

いぬか

こどもなのか

とぎれとぎれに

ものがなしいせんりつのように

ほそく かぼそく

うつくしいのだが

もう きえた

たしかに

きいた

ざわめくこえと

つきささってくる ざったなおとに

かきけされ

みみをそばだてても

よこしまなもじのれつが

あふれているだけ

そうか

かくしたいのか

きづかれるのがこわいのか

そうはいかない

もうおぼえた

あのなきごえ

ざわめきのあいまに

ほそく かぼそいが

いたるところで

たかく ひくく

きえぎえに

きこえる

たしかに

わたしの

こたえを

まっている

ネクロポリス

ここは

無くしたもの総てがある都市

薄紫の霧に覆われ

深い水底のような静寂に

たゆたっている都市

見覚えのある通りを往けば

懐かしい人々と行き会い

あの日抱いた猫が横切り

あの日見上げた空に舞う鳥

夜明けでも

黄昏でもない

色も

音も 無い時間

不思議に

満たされ

不安も無く

想うことがあれば

都市全体が 共に想う

捜し物はみつかり 去ったものは戻り

迷うことはない

まどろみながら

たゆたっている都市

総ての者が

行けるわけではない

喰人鬼

皿の上に 置かれた肉

血の滴る

お前の全部

お前は自ら望んで

私の食卓にのったのだ

お前の骨も心臓も

お前の過去から 未来に到るまで

総てを私に差し出したのだ

私は喰う

お前の 愚かさを

脆さを

傲慢さを

嘲笑いながら

血の一滴も残さずに

この飢えを終らせる為に

私は満たしたいのだ

私の中の この虚を

私は喰う

私に喰われるお前は

お前を喰う私