あかいペディキュア | ハリケーン銀河 :warp:

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私はその人を尊敬していた。
そしてその1.5倍くらい畏れてもいた。

おそれる理由はいろいろある。
まず、まっすぐすぎるくらいな性格。

無神経と紙一重なぐらい、徹底的に正義って言葉が似合った。

部活でも人一倍動いて練習も欠かさず、一方で学業も抜かり無く、それだけならまだしも、パーマをかけた姿は女としての意識の高さを感じさせた。


完璧だった。

ゆえに、私が男だったら絶対惚れないだろうなと失礼なことを思ったりしていた。


でもやはり
先輩の足の爪をふと見たときなどには、なんて素敵なんだろうと目が覚めたように思うのだ。
先輩が気にいってよく塗っていたペディキュアは、とびきり濃い赤だった。



そんな先輩もこの女子校を私たちより一年早く卒業し、追うように私も先輩と同じ大学へ入った。
そして、久々の再会と共に衝撃の事実を知った。


「いま就活中なんだけどもう落ちまくりだよー!」

「卒業したら(いま付き合ってる)先輩と同棲する予定で」


笑いながらそう喋る先輩は私の知っている和田先輩ではなかった。
聞くところによると付き合っている相手は部活の先輩で、私たちが高校のときに時々コーチとして練習を見にきてくれた二つ上の、どこをとっても普通な感じの人だった。



なんとなく
あたし、先輩は宮本武蔵みたいな、とにもかくにも「すごい人」しか相手にしないと思っていたし、してほしくなかった。

さもなくばいっそのこと10歳くらい年上の妻子ある人との略奪愛の末に駆け落ちしてほしかった。




なのにそんなありきたりなパターンでまとまってしまうとは!



彼氏と一緒の部屋であかいペディキュアを塗る先輩の姿なんて想像できない。

何故だか、ペディキュアは一人で静かに塗るのが似合う。

きっと同棲なんかしたら、完璧主義者の先輩は夕飯とかもきっちりつくって、お米といだりして、それにはやはり手にもマニキュアは塗ったりしないで

もっともっと私なんかが全然知らない女の人になってゆくんだろーな。

…まぁ、私が彼女の何を知ってたわけでもないんだけどね。