邪道 | ラッキースターボクシングクラブ               「明日もラッキースター」

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このシリーズでかなり以前に書いた「TV」の記事内容と少し重複します。

30数年前に「青が散る」というテレビドラマが放映されました。

宮本輝さんの小説がドラマ化されたものです。

ストーリーは、新設された大学にできたテニス部が舞台となっているのですが、

登場人物の1人に貝谷という男子部員がいます。

テニスはおせじにもうまいとは言えないのですが、

試合ではなかなか負けないのです。

クセのある変則のフォームで打つボールは、変なバウンドをするため

相手を手こずらせます。

貝谷いわく

「才能のない者が限られた時間で努力しても一流にはなれない」

「ならば一流に続く王道は捨てて、二流を超えることができない邪道を目指す」

「二流の上は一流の下を凌駕する」

それらのセリフにしびれました。

私もそれしかないと考えました。


最初に書いたように、私は運動センスがまったくなく、

ボクシングを始めた時点ではゼロからのスタートではなく、

マイナスからのスタートでした。

どうしようもなく下手で、早いうちから戦力外と判断され、

練習中はほとんど指導などしてもらえず、

新入生の合同指導でワンツーまで教わった後は、

誰にも何も教えてもらうことなく、見よう見まねで動きを覚えました。

下手でセンスがないとはわかってましたが、

強くなりたい、試合に出て勝ちたいとの思いは強くありました。

ではどうすればいいかと悩んでいたところで、

スパーリング中に苦しまぎれにやった

「腕をいっぱいに伸ばして相手の動きを妨害する」が

見ていた2つ上の先輩に「今のよかったぞ、使え」とほめられ、

これでいこう、と決めました。


セオリーどおりの王道のボクシングを目指しても、行き着く先は知れてます。

大学入学後からのスタート、運動センスのなさ、指導者の不在、指導との無縁、

それらを考えるとたぶん4年間練習を続けても

1度も勝つことなどできずに終わるだろうと考えてました。


それなら王道を目指すことを捨てて、邪道を進もう、

一流になれなくてもいいから、二流の上を目指そうと思いました。

「きれいなボクシング」でも、「力強いボクシング」でもない、

「変なボクシング」を目指すことにしました。


結果、19歳から25歳の間に不戦勝を除いて10戦に出場して7勝3敗、

全日本選手権代表選考会優勝の戦績と実績が残りました。


王道のボクシングを目指していたら、

たぶん1度も勝つことなく終わっていたと思います。


( つ づ く )