戦地から愛妻への願い | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

前回の続きです。

前線での兵士が書く、父母に宛てた手紙の傾向は先に述べた通りです。

今回は「妻への手紙」について書きます。

前線の兵士が愛する奥さんに書く内容はズバリ、

「愛してる」

と書くことです!

どれだけかけがえのない存在であるか、どれだけ今すぐに会いたいか、抱擁したいか、キスしたいかを書き綴っているのです。
勿論、現地での辛さを吐き出す若者もいます。が、苦悩や葛藤だけを述べず、それを含めたユーモア混じりに人生の享楽の延長線上であるかのように、強く逞しい夫として手紙を書いてました。

兵士が奥さんへのお願いの傾向で興味深いのが、

「手紙を書いてくれ」

と懇願することです。
前線の兵士は、何よりも愛する妻からの手紙を欲しがりました。故郷のタバコやお酒を欲しがる者も居ましたが、それは殆ど、両親への手紙に記述していました。
奥さんへは何よりも「愛してる」を欲しがっていたのです。
更に興味深いのは

「返事を書くときは、前回僕が書いた手紙を何月何日に受け取ったか必ず書き記てくれ」

とあったことです。
野戦郵便と呼ばれる戦地での配達集配業務は、遅れるのが当然です。
兵士は頭では遅配を理解していても、妻が手紙を書いてくれない事情があるのでは?と不安になるんでしょうね。
「相手がいつ読んだか?」これは現在のメールやラインに共通するかと思います。
人の心理は今も昔と同じかな?と思いました。

****
「困っていない」と振る舞うことも夫の重要な役目のようでした。
ドイツ兵に取って、東部戦線の田舎の風景は苦痛でした。寒くて何もないロシア、ポーランドの土地に対して

「君をここに連れて来て一緒に暮らすことは出来ない」
と書いてました。
戦争に勝ったとして自分達の土地になってもここでは暮らせないってことですね。
劣悪な環境、または文化の違う土地に対して、故郷がより良く思えるのでしょうか?それがまた敵兵士への恨みを加速させるかもですが。

更に西部戦線でフランスに行ったドイツ兵は、口々にフランス女性の悪口を書いてます。
濃い化粧や貞淑の無さを「盛って」書いてます(笑)。
それは愛する奥さんを安心させるためだと思います。
異国の地で異国の女性に心惹かれることは絶対にないという固い誓いを、フランス女性の悪口という形で手紙に書いてるんですね。これも愛する夫婦の形だと思います。

では続きはまた。