新連載「勇者のセイジ」1 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

「よくぞこの謁見の間までたどり着いたものだ、勇者セイジとその仲間達よ!
うぬ等のこれまでの戦いは千の賛辞に値する。」

「そりゃどーも。
俺達6人と2匹は、お前を倒す為に今日まで頑張ってきたんだ。
さっさと終わらせよーぜ。」

「フフフ、勇者セイジよ、そう事を急くでない。
余はうぬを高く評価しておる。
どうだ、ここは余と取り引きをせぬか?」

「この期に及んで戯言を!セイジ様、耳を貸す必要などございません!」

「いいや、待てサラ。聞いてみる価値はある。
話してみな、魔王よ。」

「よく言った…。
勇者セイジよ!余の部下となれ!さすれば世界の半分をお前に与えよう!」

「おのれ世迷い言を…。
セイジ殿に人間を売れと言うのか?魔王め、今ここで拙者の剣のサビに…。」

「やめろ、オメガ。
話の途中だ。」

「ほう…話が解るではないか、勇者セイジよ。ではうぬは…。」



「はい、大魔王様。私めに世界の半分を頂けるなら喜んで…。」


『そんな!!セイジ様、お気は確かですか…?』


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これで5回目のループだっけかな…?
ありとあらゆる『分岐点』を考えてみたが…もう思い当たる節はここくらいしかない。
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俺、火依深 聖児(ひよりみ せいじ)

こっちの世界では17歳の勇者セイジってことになってるけど、ゲームの画面に吸い込まれる前は、29歳の一般会社員だったんだぜ。

「異世界転生」なんて漫画の世界だと思ってたけど、まさか自分がそうなるなんて…。

俺はもう何度も魔王をこの仲間達と倒した。
だが何回やっても俺の住む現実世界に戻れなかった。
最初はただのクリア。
二回目はレベル99まで上げた。
三回目はアイテムのコンプリート…。

もうやれることはやり尽くしたと思った。

それで俺は考えた。

「世界の半分を貰った場合はどうなるんだうろう?」

と…。
殆どの場合は邪(よこしま)な選択をしたからという理由で、能力が著しく下がるハンデ戦になるというのがお決まりだが…。

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「そうか、勇者セイジよ。
では具体的にどう折半するかね?
うぬの希望を聞こうではないか?」

『え…?』

『…。』

『…。』

「どうした、勇者セイジよ。
そうだ、うぬの故郷のシオンの村を中心に半分とするか?いや焼け野はらとなったから統治したくはないか?」


おいおい、RPGからシミュレーションゲームに急ハンドルかよ…。