創作小説「僕が望んだ完全」 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

※この物語はフィクションです。実在の人物、団体、名称とは一切関係ありません。
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僕はお祭りが嫌いだ。
豊穣の祈りを神様に捧げたいのなら、個人で静かにやればいいのに…なんて思う。
けど、友人にそんな事を言っても通用しない。男子は神輿を担ぎたいだけだし、女子はハッピ姿を写真に撮りたいだけ。
僕が「祭祀儀礼とはそもそも…。」
と、語ったところで誰も聞きやしない。
でもまぁ、密集を避けるために中止になってくれて正直安心したかな?

僕は根性論者が嫌いだ。
汗だくになって働いたり、徹夜で勉強すればいいと思ってる友達の親や年配教師達のことだ。
彼等に効率の重要性や無駄な箇所の列挙なんて逆ギレの元だからやめたほうがいい。
でもまぁ、熱があっても赴こうとする奴らにストップがかかって良かったよ。自己陶酔的な頑張りの押し付けが、他人への迷惑だと自覚する日は来るのだろうか?

僕はチャラい男が嫌いだ。
真剣に議論出来る奴しか友達になれないと思ってる。

「酒飲んで忘れろ」なんて軽く言ってくる奴なんかとは絶対に仲良くなれない。
そんな男がいいという女子とも打ち解けたくない。
君たちは君たちで盛り上がっていればいい。
僕を密閉された空間に連れていかないでくれ。
「歌」ばかりが「うた」じゃないんだよ。「詞」や「詩」や「唄」も「うた」だってことを考えようよ。
でもまぁ、今はどこも営業してないけどね。

おかげさまで僕は好きな読書に集中出来て、至高の時間を過ごせてますよ。
だが、友人未満の知人達よ。安易に僕にオススメの本を聞くのはやめてくれ。
「室内で読書してる自分」を写真に撮りたいだけならば、表紙とタイトルだけで好きに選べばいいじゃないか!

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…七つの玉が集まったわけでもないのに…僕の願いは叶ってしまったのか?

僕の嫌いな物ばかりが都合良く排除されていく。

これは僕が望んだユートピアか?

これは僕が望んだ永遠か?

これは僕が望んだ完全なる世界か?


違う!僕は思いはしたが願ってはいない!
神よ!弁明が許されるなら聞いてくれ!

強制的な集団行動や、観念的な体育会系のパワハラや、浅くて軽いカルチャーが改善されればいいと思ってただけで、こんな風に皆が居なくなればいいなんて一度も思っていない!

そして…こんな僕自身が一番嫌いだと思ったことはあるけど…それでもまだ消えたくはないんだよ…お願いだ…。

(完)