
は、私が渡した果たし状…じゃない、文化祭のキカクショをただ黙って読み続けていた。
厳かな机を構えた塾長室

には不釣り合いな専用(と思われる)の椅子

に腰かけ、時折「フム」とか「なるほど」と頷きながらページを進めていった。
この小さな竜のせいで我がスライム族の目暮王家が没落したのなら、隙だらけの今なら殺れると思った。
だが、それでは我が王家の秘宝「八識の冠」の行方は解らなくなるし…とジレンマを感じてた時、傍らに控えるミラの弟のアルが強烈な殺気を送ってきた。
(やめておきなさい)
と、私に目で合図したかは解らないが、バハムート塾長の前でそれは無駄と促したい以上に、弟アル個人の殺気を向けているようだった。
そう、私やかごめ以上に実姉のミラに向けての殺気だった。
(おかしいな…姉弟仲はミラが話してるほど良くないのか…?
それとも仲が良過ぎて明後日の方向に拗らせてるのか…?)
邪推の域を出ない妄想を親友とその弟に重ねてた時、
「このバハムート、とても感心致しました。」
と、キカクショを読み終えたバハムート塾長が声をあげた。
「私の答えはお茶でも飲みながら…」
と、隣のゆかり教官に目で合図すると、
「はい」
と一礼したゆかり教官が壁についたボタンを押す。
途端に私達全員分の椅子が床下からせり出し、大きなテーブルの上には湯気が立つお茶が淹れられていた。
「因幡君、君は直ちにR-4の面々に集合をかけなさい。」
「R-4を?それでは…?」
「こちらの企画書では塾生が作った美術品や工芸品の他に音楽の披露や模擬店の経営…。
そして何よりも『人間界のスポーツと格闘技で黄昏羅漢塾と対決』と記載されてます。
実に面白い!」
「私達は争いを望んでいるわけではありません!
スポーツと格闘技で白黒を付けるというのは、勝った塾の方がより人間界を熟知し、よりチームワークがある証だからです!」
「いいでしょう。
しかし、条件があります。
勝負は我が黄昏羅漢塾伝統の『四選六道八連制覇』(しせんろくどうぱーれんせいは)で決着を付けさせて頂き、そちらの代表八人に必ず雨野うず女を加えることです。」
続