妖!萌慎艶戯塾 第43話「豹変」 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

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このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

「それでは萌慎艶戯塾文化祭実行委員会の皆様、バハムート塾長が皆様を心待ちにしております。
塾長室までは私が案内させていただきます。」

「ちょっと、アル!
『塾生代表』ってどういうこと?この前の連休に実家で会った時は何も言ってなかったなじゃない!
代表って、ウチで言うなら『筆頭』ってことでしょう?
あんたお姉ちゃんに内緒でいつの間にそんなに偉くなったのよ!?
また背も伸びたみたいだし!」

「はい、黄昏羅漢塾は半年に一度の塾生間選挙が実施されますので…。
この前、姉さんに会った時はまだ改選前でしたので。
アルミラージは一角兎の妖怪。
真の武器は角ではなく、『成長速度』です。アジアの某国では『うさぎの様に早く育て』と教育するくらいですから…。」

「選挙かぁ…マツリ教官も人間界では選挙が大事と言ってたなぁ。
羅漢塾は粗暴でならず者の集まりじゃなかったのかよ?
いくらミラの弟とはいえ、予想外に紳士的だな…。
ちくしょう、教官の権限で勝手に筆頭を指名するウチの方が遅れてるな…。」

****

「失礼します!塾生代表因幡アル。
萌慎艶戯塾文化祭実行委員会の皆様をお連れ致しました。」

建物も敷地内も、すれ違い様に見かける塾生も至って普通だった。寧ろ、この黄昏羅漢塾から妖怪や妖精の痕跡を一切感じない方が不思議だった。

「どうぞ、お待ちしていました。」

アルが扉を開けると、そこには見馴れた女性が…いや、間違いなくその女性を知っているのだが、その姿は見馴れなかった。
そう、かつては我が萌慎艶戯塾で教鞭を取っていた古瀧ゆかり教官の変貌ぶり
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に誰もが言葉を失った。

「あの…ゆかり教官ですよね?」

「え~、当たり前じゃない!もう忘れちゃったの?
転勤しても私は貴女達の教師のつもりだったのにショック~!」

「いえ、決してゆかり教官を忘れたわけではなく…。」

「フフフ、『恋する女は綺麗になる』なんて私には該当しないって思ってたけど…私を変えてくれたのは、だぁ~れかな?」

と、自分の左手に留まらせている小竜に優しく微笑みかけた。
小竜は塾生の前で止めろ!と照れくさそうにゆかり教官に促し…。

「はい、もうお気づきでしょうが、私が黄昏羅漢塾塾長のバハムートです。本体は壁の中ですが、DVDの様なエネルギー体から実体化に成功したのはゆかりの愛のおかげです。」