「私が君達に伝えられるのは政治学というよりは『リーダー学』と言った方が的確だろう。
近代人間社会では『独裁』は許されない。
トップの胸三寸で民衆を操れる時代は終わった。」
「冴木教官、人々が平等ならリーダーは必要ないんじゃないですか?」
「確かに。
これは先進国日本でもまだ模索の段階だが、完全なる平等は未だに実現されていない。
逆に権力が分散し拮抗することは懸案事項の停滞に繋がる。
と、いうことは…どういうことかな?ええと、因幡ミラさん」
「は、はい。それぞれが平等に違う意見を言い続けたら、何も決まらないと思います。」
「と、いうことはリーダーとして求められる人材とは?ええと、鳥羽かごめさん!」
「はい。リーダーとは『決断すること』が重要かと思います。」
「その通り!
リーダーは何よりも『決断力』が重要だ。
判断が必ずしも正しいか否かはその時点では誰にも解らないことなんてたくさんある。
だがそれでも決断し、責任を負うのがリーダーの使命だと私は考える。」
「冴木教官。『責任を負う』とはつまり、判断が誤りだったり、勝負に負けた時ってことですよね…。」
「その通りだ、目暮さん。
『潔さ』も大事だな。
だが、リーダーは自分のことだけじゃない。
『部下の失敗を許す』これも重要なリーダーの資質だ。」
「冴木教官にそう言われたら益々憧れちゃうです…。」
「許すリーダーってカッコイイ…。
ウチの長老なんかパパのミスをいつまでもグチグチ言うし…。」
「ていうか、おクネちゃんとすへ子婆さんがそうじゃない!罰を与えるばかり!
でも、塾長は厳しくても許してくれたわ!」
「…みんな、生の妖怪の声を教えてくれてありがとう。
そうだな、『裁く者より許す者』とか『勇気ある撤退』とか『白旗を揚げることで終わらない戦いを終わらせられる者』ってのも最近では重要視されてきている。
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「教官、質問です!
教官が掲げるリーダー像とは本当に私のような『女性』にも該当するのでしょうか?
私…女は結局、無理矢理結婚させられるだけだと思うんです…。」
「赤峰摩亜耶さん?
何か個別に事情があるのですか?」
「赤峰!お前は人間社会に出ないで、入り婿貰ってキラービー(蜂の妖精)の村に戻る予定じゃねえか!
花嫁修行の腰掛けで萌慎艶戯塾に来るなよ!」
「目暮さん!勝手な発言は控えなさい!」
「樹里亜ちゃん、私は結婚なんて嫌よ!」
続