教官室**一限目終了後の休み時間**
(教子)「お疲れさま、ゆかりちゃん。
初授業どうだった?」
(ゆかり)「はい、予想外?にみんな良い子ばかりでしたよ!
私の講義を静かに聞いてくれたし、質問は的確だったし、彼女達はある意味、凄くピュアな視点で人間社会を見てますよ!」
(教子)「そう…。じゃあ、その事はしっかりと日誌に書いててね。
保健室勤務の治美先生も含めて、私達の情報共有は必須よ!」
(ゆかり)「はい、ありがとうございます!教子さん。そちらの二号生はどうでしたか?」
(教子)「ええ、私も最初の授業は何にしようか迷ったけど、『帽子取り』にして大成功だったわ!」
(ゆかり)「帽子取り?」
(教子)「ええ、騎馬を組まない方の小学校低学年向けのやつね。ゆかりちゃんもやったことあるでしょう?」
(ゆかり)「ええ、それなら二号生のみんなも楽しめたでしょ?」
(教子)「楽しくなってきたのは最後の 方でやっとね。
興奮して妖怪の力を解放させないように大変だったわ。
変身を解いた子には容赦なくお仕置きしたわ!
小さい子供やペットと一緒ね。
『ダメなものはダメ!』これが基本よ。
それと彼女達、機織りとお料理や掃除しか習わなかったから、体操服も着たことなかったのよ!
外で半袖短パンになることさえ恥ずかがってたわ!
そんな彼女達が何も知らずに人間社会に出たら…ってゆかりちゃんも解るでしょう?」
(ゆかり)「私だって、地方から出てきた子が東京の一人暮らしは怖いって話は何度も聞きました。
でも、人間社会の常識をしっかり教えられてない彼女達は、この塾を卒業しても…。」
(教子)「ええ、私達は真理亜塾長に惹かれてここまで来たけど、今までの塾長の方針に問題がなかったわけじゃないわね。」
(ゆかり)「その為に私達は来たんですよね…。」
(教子)「ええ、変わらないと思ったら何も変わらないわ!
私達も彼女達を可愛いと思うわ。
そんな彼女達が騙されて怪しい仕事に身を堕とすなんて、現役教師として、一人の女の先輩として許せないわ!」
(ゆかり))「頼りにしてますよ!教子先輩!」
(教子)「私は…離婚した元旦那とその母親に、息子を取られたから…。その子にも、最後の面会日に無邪気な笑顔で『新しいママの方が好き』って死刑宣告されたわ…。
私にはもう何もないって思ってたけど、これからは、ここの塾生みんなが私の子供って思うわ…。」続