妖!萌慎艶戯塾 第十五話「進化」 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

「人類の歴史とは戦争の歴史。
どんなに綺麗事を言ってもこれは揺るぎない事実です。
そして人類は戦争に勝つ為に新しい武器、新しい戦術を生み出し続けました。
それは全て、より効率的に、より大量の人を殺める為にです。」

「古瀧教官、お言葉ですが人間が生み出した物は、必ずしも破壊と殺戮ばかりとは思えません!
特に美しい絵画や音楽は心が奪われます!
それにエレベーターや飛行機、携帯電話など、便利で快適な生活は塾生の憧れであります!」

最初に質問してきたのはガーゴイルの鳥羽かごめさん。
号令をかけた一号生筆頭の目暮樹里亜さんと、私が赴任した当日に『壁越え』を決行した三人組だ。
面識はあるけど、教卓の座席票を確認しながら質問に答える私。
最初の質問が先生イジメや嫌がらせじゃなくて一先ず安心したわ…。

「ええと、一号生筆頭代理の鳥羽かごめさんね。
熱心な質問ありがとうございます。
二度の世界大戦を起こしただけで、人類を嫌悪されても仕方ないと思ってましたが、人間らしい魅力に憧れて、この萌慎艶戯塾で学ぼうと志す皆様の意欲に、私が学ぶことがいっぱいです。

ではかごめさんの質問の答えですが、残念ながらテクノロジーの平和利用は軍事利用の『お下がり』の側面が強いですね。
飛行機も一般人が旅行で乗れるようになるよりも、戦闘機としての利用の方が先でした。
携帯電話に代表される近年の通信機器も、『迅速かつ仲間内だけに』という暗号技術から発達した側面も大きいですね。」

「古瀧教官!それは人間が行うスポーツもそうだと思います。
最初は戦争の為の格闘術だったとか!」

「そうですね、凄惨な殺人術も厳格なルールによって身心を健やかに育てるものとしてスポーツは平和の象徴となりました。
樹里亜さんは体育の授業に興味津々なのかな?
大丈夫よ、大月教官は二号生担任でも、一号生にも体育の時間はちゃんとあるから。
そして人間社会の中でルールを守ることがどれだけ大切かは、綿貫教官の『社会』の授業で学ぶように!
私はあくまで考古学者です。
考古学者は事実を淡々と述べるだけです。
それに意味を持たせるのは皆様自身です。
そしてそのお手伝いをするのが『政治及び政治哲学』を教える冴木教官です。」
と、言った瞬間に今まで慎ましやかだった一号生25人が急にキャーと騒ぎだす。

そう、着任式で挨拶したマツリちゃんは、そのクールで中性的な容貌で塾生の心を鷲掴みにしたのよ。続