僕たちに許された二重殺 20 試合編6 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

真喜志先輩を敬遠したということは、相手バッテリーは僕のことを「こいつなら打ち取れる」と思ったからだ。
まだ最初の打席で、僕だけでなく、真喜志先輩もどんなバッティングをするか知らないクセに…!

腹立たしさをバットに込めたいけど、秋成の言う通り、頭はクールに…。
怒りは判断を鈍らせる、しっかり球を見極めないと…。

バッターボックスに向かおうとすると、ネクストバッターの須永先輩が…。

「金城、鍵はお前や俺みたいな左バッターだ!
バットの芯で打ち返した加賀谷も向井も左打者だ。
玉野だけは右でヒットを打ってるが…。」

「須永先輩、やっぱり都倉さんのツーシームは左の方が…。」

「あぁ、見極めやすいし、ツーシームが俺達の外角低めに決まってもそれほど脅威じゃない。
右打者なら内角低めに食い込んで打ちにくいだろうがな。
思い切っていけ、金城!
俺をセカンドからセンターに追いやったのは、守備力だけじゃないんだろう?」

「勿論です!」

「よし行ってこい!」

失うものはない、駄目で当然!

「ストライク!」

外角高めのストレートに振り遅れで1ストライク。
速い…!
ウチの真山先輩より明らかに速い!
練習でも本気の真山先輩のストレートを打てた試しがないのに…。
くそう…。今の高めはチャンスだった。
変化球が高めに入ると、タイミングさえ合えば長打になる。
だから相手は高めに投げる時は直球しかないはずだ。

配球の基本は
「対角線」

外角高めに投げたら、次は内角低め。
これが右打者なら直球かツーシームか悩む所だけど…。
左打者の内角低めにツーシームを投げたら、変化する分、真ん中に入る。
つまりそれは棒球になるから要求はしない。
と、なると…内角に来るのは絶対にストレート…ここだ!

「カキン!」

一球目と同じタイミングの速球が本当にインローに来た!
思い切り振り抜いた先は…。

「ファール!」

一塁線をライナーで破るかと思ったが惜しくもファール!
いける!僕でも出来るぞ。
バットを一握り短く持ち直す。速球に振り遅れない駄目だ。
けど、それは相手へのパフォーマンス。
外が届かないだろうと、ツーシームで更に遠く投げるから…。

「ボール」

やっぱり!左打者にはツーシームで勝負にこない。
四球目。

「ズバッ!」

内角でも伸びのあるインハイのボール球に三振。
しまった、左右の揺さぶりばかり気にして高低差にやられた悔しい!