僕たちに許された二重殺 19 試合編 5 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
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二回の表。0-1。
貴川西高校の攻撃。
先頭の五番玉野秋成はセンター前ヒットで出塁した。

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せっかく出塁したのに、一塁ベース上で悔しがる秋成。
ホームランを打てなかった苛立ち?
それともこれも相手を混乱させるパフォーマンスかな?
いや、それよりも貴重なノーアウトの同点ランナーだ。
何としても秋成をホームに還さないと…。

六番は左翼手の向井先輩。
守備に難ありだが、パワーでは加賀谷先輩に負けていない。

左打席に入り、二球目の高い直球を強引に打ち、外野にボールが飛ぶ。
両校の応援団から歓声が上がるが、高く上がり過ぎた飛球は相手のライトにキャッチされた。

悔しがる声と安堵の声が球場全体に混ざる中、

「二塁だ!」

相手の右翼手の返球が送れるの先読みしてたかのような秋成の一塁から二塁へのタッチアップ。
慌てて中継したセカンドが刺そうとするが…。

「セーフ!」

まさかの二塁タッチアップ成功!
三塁やホームは外野から離れるからわかるが、「ダイヤモンド」って言われるくらい、二塁ベースは外野に近くなるからタッチアップは難しい。
秋成のプレーは山大付属に脅威を与えたはずだ。
凄い、これで送りバントと一緒だ…。

一死二塁で期待がかかる中、七番の井坂先輩はストレートに振り遅れてファーストゴロ。
スタートを切ってた秋成は三塁セーフ!

二死三塁で八番はキャッチャーの真喜志先輩。
向井先輩も井坂先輩も、都倉さんのツーシームを気にし過ぎて直球にやられたから、真喜志先輩は捕手の読みを活かして打ってください!と、思ったら…。

「相手キャッチャーが立ち上がったよ!」

「おいおい、まだ二回だぜ?」

一塁が空いてるからって、まさかの敬遠。
山大付属はホントに堅実だな…。

って思ってたら、次の打者は僕だ!

どうしよう…。
二死一三塁で、打順は九番セカンド金城慎太郎です…。

山大付属は前の真喜志先輩を敬遠して僕との勝負を選んだ。
どうしよう、ここで凡退したらせっかくのチャンスが…。
せっかく秋成が好走塁したのに…。
でも、ここで打てば秋成が生還して同点。
一塁の真喜志先輩まで還れば逆転。
一回戦は秋成のサヨナラヒットで僕がホームを踏んだから、ここで僕が打てば、僕は秋成と肩を並べられるんだ…。
一回戦の勝利の時、秋成は喜びの抱擁を僕にしてくれ

「お前と何度でもこうしたい」

と言ってくれた。
僕も同じ気持ちだ。