僕たちに許された二重殺(ダブルプレイ)16 試合編2 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

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このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
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一回の表。
我が貴川西(たかがわにし)高校の攻撃。
一番バッターの須永先輩が左打席に入る。

ウチが先行の時点で、一回戦の様なサヨナラ勝ちはない。
勝つには実力で点差をつけて最後の打者を抑え切るしかない…。
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四球目をバットに当てた須永先輩。
打球は三塁前に転がり、俊足の須永先輩なら内野安打か?
と期待したが、山大付属のサード高品さんのチャージは早く、矢の様な送球で一塁アウトになった。

悔しそうにベンチに戻る須永先輩だったが落ち込んではいない。
ネクストバッターの川中先輩に声を掛ける。
一番バッターは出塁することも大事だが、最初の打者として相手投手のクセや球の見極めも大事な仕事だ。
皆がベンチに戻ってきた須永先輩の感想を聞きたがる。
攻略の糸口を見つけたいが為だ。

「確かに早いな…。
ストレートを早く振らなきゃ、と思ってツーシームを雑に引っ掛けてしまったな…。
だが、全く駄目ってわけじゃないな…。」

「そうですか、速球でもギリギリまで引き付けて打つという、基本的なバッティングを心がけていれば、全然打てない相手じゃないですね。」

秋成が皆に呼びかける。「基本的」「打てない相手じゃない」と強気の発言で鼓舞する。
一回戦の単独行動を繰り返してた時とは大違いだ。

「ストラックバッターアウト!」

その間に二番川中先輩が三振に倒れる。
二球惜しいファールがあったが、最後はストレートに三振した。

ベンチに戻ってきた川中先輩も、須永先輩や秋成と同じ事を言った。

「俺がファールしたストレート…。
確かに速いが、タイミングさえ合えば何とかなるかもな…。
バットに当たっても飛ばないってわけじゃない。」

「と、なるとやはり、あのツーシームとの見極めが大事ですね。
加賀谷先輩頼みます!」

秋成が中心になって声を出すなんて今までなかった。

「行ったぁー!」

左打席の加賀谷先輩が強振せずにコンパクトに外角のツーシームに合わせた。
須永先輩の打ち損じを参考にしてなきゃ出来ないバッティングだった。
レフト前ヒットで二死一塁。
一回からランナーが出たのは、この試合の可能性を示してくれる。
続く四番の真山先輩には…。

「真山先輩、内角のファールには気をつけてください。ド根っこに当てて手がシビレたら、先輩のピッチングに悪影響です。
俺に繋いでください。」

四番真山、内角に手を出さず見逃し三振。
一回の表、攻撃終了。続