デンマーク女性の選挙権 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

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このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

以下の文は、明石書店「デンマークの歴史教科書」からの引用です。
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国民統治が1849年にデンマークに導入されたとき、女性は選挙権を持たなかった。
30歳以上で自身で生計を立てられる、つまり自宅か賃貸の家で暮らす家族を持つ前科がない男子だけが投票できた。
この頃は僅かな女性だけが男女平等を求めていただけだったが、1880年代からはじめて、男女平等への要求は力を増していった。
とりわけ、1871年に設立された団体「デンマーク女性社会」が考えを先鋭化させてきたことによるものだった。

当初は、選挙権が女性たちの最も重要な目標ではなかった。
夫婦間に生じる抑圧への戦いだった。
そのうえ、女性は教育と公的セクションでの雇用の権利を獲得したかった。
次第に女性の選挙権も議題に上がってきた。
「デンマーク女性社会」がこの案件について十分取り組んでいると思わない者がおり、彼女らは、「女性進歩協会」と「女性選挙権協会」を設立した。

男性はゆっくりながらも、女性が選挙権を持つことを受け入れ始めた。
1903年に教区評議会の選挙で女性は投票権を獲得した。
1908年には地方議会、1915年には国会への投票権を獲得した。
1918年の下院の最初の選挙で、男性とほぼ同じ数の女性が投票した。
しかし、女性候補者が多数いたにもかかわらず、殆どの女性は男性に投票した。
この結果、下院議員140人のうちわずか4人だけが女性だった。

ヨーロッパとアメリカの至るところで、女性は1900年頃、平等を求めた。
いくつかの国では過激化した。
デンマークでは闘争は平和的に行われた。
殆どの国で女性は1920頃に投票権を獲得したが、フランスでは1944年だった。
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はい、これがデンマークの中学生が学ぶ歴史の内容です。
デンマークでは「考える」教育に力を注いでいます。
生徒は疑問をぶつけ、教師は答える。
それはこの教科書を媒介としているのでしょう。

驚きは女性は投票や立候補が目的でなく「生活環境の向上」が目的であり、選挙権は平等の証として求めたということです。
そして女性が投票権を得ても必ずしも女性候補者に投票しなかったという現実を教科書に記載したことに拍手喝采です。
これぞ真の平等ではあり、世界一格差が無い国のデンマークの教育です。

なお、年表を日本に合わせると1867年に大政奉還で、1945年に第二次世界大戦が終わりました。