翌朝 9:22
警視庁 四谷署
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「え~!本当ですか?はっ、はい。すぐに宇都宮先輩と現場に向かいます!」
普段閑散としている四谷署の有力証拠ゼロ課(通称ユーレイ課)に、近藤優刑事の声が響く。
名前を呼ばれた宇都宮真樹は、その端正な顔立ちをわざと台無しにするかの様な大欠伸をしながら、近藤に詳細を聞こうとした。
「何よ、朝から事件?せっかく今日のブレックファーストはロビンフッドのベーグルにしようと思ったのに~。」
「働いてください、宇都宮先輩!
先輩を指名するに相応しい『そっち側』の仕事ですよ!」
事件に恐怖を感じながらも、先輩の宇都宮の能力に期待と羨望を抱く近藤。
そして宇都宮はなおも気だるそうに…。
「で、どんな事件?ホントにそっち側っぽいの?」
「はい、女が…ホステスの女がラブホテルのベッドで…。」
「絞殺?それとも刺された?
金と痴情絡みなら本店で十分じゃない?」
「違います!
ホステスの女がラブホテルのベッドの上で溺れたんです!」
「……。」
「……。」
「…羨ましいわね…。
あたしもそんな想い味わってみたいわ。」
「そういう意味じゃありません!
文字通り、ベッドの上で大量の水を飲んで呼吸がままならない女が救急車で運ばれたんです!」
「ベッドの上で…?
確かにおかしいわね。
故意的に溺死させようとするならバスルームでするだろうし、それをわざわざベッドまで運ぶなんてよほど異常者じゃないと、意味がわからないわ。
それか被害者が抵抗して、犯人は逃げてベッドで力尽きたんじゃないの?」
「それがベッドだけじゃなくて、部屋中が水浸しになってたんですよ!」
「下の階からの苦情で、フロント従業員もバスルームでの自殺を疑ったのですが…。」
「バスルームやスプリンクラーと関係なしに…ってわけね。
なるほど、そりゃ、あたしの出番だ♪
じゃあラブホテルに行くわよ、近藤くん!」
「はい、宇都宮先輩!」
「……。」
「あの、言っとくけど『現場の』ラブホテルだからね!」
「当たり前です!
朝から何言ってるんですか?」
「夜ならいいの?」
「そういう問題じゃありません!
行きますよ。」
(星明、ごめん…。
もしかするとあんたが言ってた件と関係あるかも…。
窃盗の件で当たってけどいきなり殺人未遂事件?被害者はラファエル姉さんが働く病院に運ばれたから命は大丈夫だろうけど…。)続