かって嬉しい
花いちもんめ
まけて悔しい
花いちもんめ
あの子がほしい
あの子じゃわからん
相談しよう
そうしよう
○○ちゃんがほしい
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これが「文学の悪魔」カールクリラノースさんから私の脳へ直接チャージされた内容だ。
二つのグループで勝ち抜きを競うゲームは世界各地たくさんあるが、味方チームではなく、「敵チームから」誰かを指名されるというのがこのゲームの大きなポイントだ。
そして奈々子と瞳にもこの日本の遊びについて聞いたが、本の解説には書いていない最後の一節があるそうだ。
つまり最後まで指名されなかった子に向けられる一節。
本当の唄には入ってなく、子供ならではの悪ふざけが生んだ残酷な一節。
「○○ちゃんなんか要らない」
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マリリンの方は日本の漫画をチャージされたらしい。
「幽々白書」という作品に出てくる雪女は、その涙に稀少な価値があるって設定だった。
囚われの雪女に取って、監禁された部屋の窓から出入りする小鳥が唯一の「友達」だった。
人間達からどんな肉体的苦痛を与えられても決して泣かなかった。
でも、目の前で「友達」を失った時だけは涙を流し、その涙は「氷泪石(ひるいせき)」と呼ばれる結晶となり、とても高額で闇取引される、という話だった。
カールクリラノースさんが与えてくれたヒント。
まずはマリリンが仮説を立ててくれた。
「同じダンス教室の生徒でも、私のタオルが盗まれなかったのは、私が泣かなかったから」
だと。
つまり…奴か奴等かはまだわからないが、とにかく私を縛り上げた「レビアたんもどき」は、女の子のタオルが欲しかったんじゃなくて、
「涙が染み込んだもの」
が欲しかったんだ。
そうなると、被害者の陽菜は、
「お気に入りのオラフのタオルが盗まれたから泣いてた」
のではなく、泣いてタオルで涙を拭いた後に盗まれたことになる。
となると、最初に陽菜が泣いた理由こそが
「花いちもんめ」
だ…。
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スポーツジム
ダンス教室の練習日当日
「うわぁ~可愛い。
これ小夜子ちゃんが飼ってるの?」
オウムに変身した明日香さんはたちまち生徒達の人気者となった。
犯人割り出しに集中出来なくて煩わしかったが、これは陽菜に気軽に話しかけるチャンスとなった。
「いや、親戚から暫く預かってるだけだ。可愛いだろ?」
「うん。ねぇ小夜子ちゃん、今日は私と組んでよ」