便利屋「ブラウニー」のオフィス。
昼休み中
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「うわぁ、小夜子ちゃん美味しそうなオムライスね~。

(参考画像)
最近、お弁当に気合い入ってない?」
「あぁ、まだまだ美夜姉ほど上手くねぇけど、私が作る料理を倫太郎が美味いって言ってくれるからな…。
もっとあいつの為に上手くなりたいな…って。」
「いいなぁ、小夜ちゃんのその初々しいトキメキが羨ましいわ!」
「だが、その為にも…。」
「うん、絶対にダンス教室に出没するタオル泥棒を私達で捕まえようね!」
「あぁ、取りあえず今日だな…。」
「大丈夫よ、私達にはグラシャ=ラボラスが推薦してくれた明日香さんも居るし、小夜ちゃんはとにかく普通にレッスンを受けて。」
「私は言われるがままに契約したが、これで良かったのか?
ロビンフッドでサインした後、明日香さんはこんなになったけど役に立つのか?」
お昼に手作りのオムライスを食べながら、視線を窓際に移す小夜子ちゃん。
その視線の先は、窓の傍に置かれた鳥かごに向けられた。
中に居る真っ赤なオウムこそ明日香さんだ。
悪魔として契約したから、人間界で実体化が可能となった明日香さん。
人間に変身するより遥かに強大な魔力が使えるから心強いけど…。
悪魔として魔力が解放された明日香さんも、やっぱり変身魔法は苦手らしく、人間に変身すると喋れなくなるのは同じらしい。
流石に人間界で燃え盛る火の鳥の姿で連れて歩くわけにもいかず、かと言って久しぶりの街中で喋れないストレスを感じたくない、とのことで結局オウムに変身して貰うことに落ち着いた明日香さん。
サタン様は人間化したら強大な力を抑えるのに大変っていうし、グラシャ=ラボラスは契約せずに変身して人間界を出歩くのを嫌うし、レビアたんは人間化さえ出来ないし。
上位悪魔になるほど大変なんですね…。
「ねぇ、小夜ちゃん。あの日『レビアたんもどき』に縛られた後が私は気になってたの。須賀さんにベタベタした身体を見られて散々だっただろうけど、ちゃんと身体拭いたよね?」
「当たり前だ!すっげー恥ずかしくて泣きそうだったけど、直ぐにシャワー室で流したぜ!」
「それよ!身体を拭く『タオル』を、小夜ちゃんは盗まれなかったわ!」
「確かに…。私が妖精だからか?」
「違うわ。小夜ちゃんは泣かなかったから」