食ってる時だけ無口になるんだから現金なものだな。」
店内でグラシャ=ラボラス相手に暴れ喚く小夜子を黙らせたのは、ロビン店長お手製のチョコレートパフェだった。

本来は紅茶が主力アイテムの喫茶ロビンフッドだが、稀に子連れの客の為にパフェを振る舞うこともある。
正式なメニューではなく、ロビン店長のさじ加減次第だ。
「…とにかく…犯人は大物の名前を語ることでしか強く見せれない三下に間違いない…。
アンドロマリウス、お前とバラム夫人が居れば十分な相手だ。
さっさと俺の濡れ衣を晴らしてくれ。」
「ちょ、ちょっと待ってよ!相手は私の追跡魔法を妨害したり、レビアたんを操って小夜子ちゃんを脅して縛りあげたりする奴なのよ!
私なんか…。」
「私なんか…何だ?
まさか『敵う相手じゃない』なんて最初から諦めてるのか?」
「だって相手はレビアたんを…。」
「そう、『レビアたん』だ。」
と、グラシャ=ラボラスが真利子の言葉をおうむ返しすると、真利子もハッと息を飲んだ。
「そうだ、『萌え』に人一倍執着するレビアたんが、契約者もしくは協力者に『海神リバイアサン』なんて呼ばせると思うか?
それにある筋の情報じゃあ、あいつは今は若いツバメにご執心で、そんな安い依頼を受けるわけねぇさ。」
「マリリン、『若いツバメ』って何だ?水属性の海竜なのに、鳥が好きなのか?」
「小夜子ちゃんにはまだ早い話だからいいの!
それに、刺さってるポッキーは飾りじゃなくて食べられるから!美味しいわよ。」
「あっ、ホントだ!現代の人間はいいなぁ、いつもこんなの食べれて。」
「ごめん、グラシャ=ラボラス、続けて。」
「そのブラウニーのお嬢ちゃんは、水流のロープで縛られた後に『身体がベタベタした』と言ったが…。
レビアたんの水流は完全な軟水だ。
そいつが偽者である証拠さ。」
「貴方はもう犯人の見当がついてるの?」
「あぁ、何となくな。」
「じゃあ、私達と…。」
「いいや、今回俺は『ワトソン』に徹する。
お嬢様方の友情を野郎の俺が邪魔したくないんでね。」
「でも…。」
「心細いか?なら助っ人を用意してやるよ。
おい、明日香!」
『私ですか?』
話を聞いてたピアニストの鳳明日香が慌てて筆談で答える。
「あぁ、犯人はお前と相性抜群だろうさ。」
続