「何だマリリン、もう中津川さんに私の正体喋ったのか?ホントに元探偵とは思えねぇほどの口の軽さだなぁ?」
小柄な女の子が外見とは裏腹な男口調で真利子さんに話しかける。
ダンスのレッスンを終えた小夜子さんが私達と合流した。
「ご、ごめんなさい…。つい、普通に奈々子さんと瞳さんと会話してたら久美子さんにも聞かれてて…。」
「仕方ねぇな。どうせならダンス教室の申し込み書に『妖精ブラウニーの小夜子。 今年で262歳。性別はあってないようなものです。』って書けばいいのか?」
「やめてください!そんなの受理したら、スタッフの私が上司に叱られます!」
「冗談だ。中津川さんはインストラクターの中では信頼出来ると思ってた。
でもまさかマリリンの知り合いの知り合いとは好都合だな。
まぁ、それだけ深刻だ。
マリリン、中津川さん。
ついさっき、また被害者が出た。」
軽い口調の小夜子さんが真剣な表情に変わった。
その時、私は小夜子がダンスをしてた時のTシャツとジャージ姿のままで、着替えもせずに急いで私達に伝えに来たのがわかった。
「…被害者は私とも親しかった。陽菜(はるな)。過去に何度か私とペアを組んだが、今日は人数の関係で先生と組まされてたな。
練習後に更衣室で声を掛けようとしたら、『今さっき目の前にあったお気に入りのオラフのタオルが消えた!』って泣いてたよ。」
「小さな子を悲しませて喜んでる変態よ!絶対に捕まえてやるわ!小夜ちゃん。その陽菜って子の事を詳しくイメージして!」
いつも私達の前でも控え目な真利子さんが怒りを露にした。
「私、アンドロマリウスは『盗品奪還の悪魔』よ!持ち主本人じゃなくても、たった今起きた犯行だし、何の変哲もないタオルくらい…。
キャアー!!」
能力を解放し、犯人をサーチしようと、真利子さんの手がぼんやり光ったかに見えた途端に、激しい閃光に変わった!
「大丈夫かマリリン?」
「信じられない。私の追跡に『干渉』したわ。
凄い魔力を感じる…。」
「待って。
これまでのこと整理しよう。」
人間として一番年上の北御門さんが私達をまとめる。
情報を整理すると…。
1 女子小学生のタオルを集める変態
2 真利子さんの追跡術を打ち破る魔力の持ち主
3 目の前で犯行に気付かれない素早さ。
犯人像が絞られるにつれ、真利子さんが…。
「ごめん、一人というか一匹、心当たりがある自分に腹が立つ」続