私は北御門さんと真利子さんと談笑しながら、ダンスレッスンに汗を流す小夜子ちゃんを見ていた。
星明が真利子さんに仕事を頼んだのがきっかけで私達は知り合った。その後、ティンブーにも何度か来店してくれて、(人間に変身した時の)年齢が近いこともあり、私達はすぐ仲良くなったのだが…。
「へ~、茶谷小夜子ちゃんは『人間に変身すると11歳』かぁ~。
どうりで落ち着いてると思ってたけど、全然気付かなかったな~。」
私達三人の背後から聞き覚えのある声!
このスポーツジムのインストラクターで私の友人の久美子だ!
真利子さんは「しまった」と言った表情を露にし、しどろもどろに言い訳しようとしたが…。
「真利子さん、大丈夫よ。
久美子も多少『そっち側』を知ってるから安心して…。(あくまで魔が挿しただけなんだからね参照)」
「そ、そうなんだ。
じゃあ、便利屋ブラウニーを宜しくお願いします。小夜子ちゃんのお姉さんと私と主に三人で頑張ってますので…。」
「うん、ばらしたりしないよ。
悪魔さんや妖精さんが人間界で大変な思いしながら働いてるのはわかってるつもりよ。
でも、その代わりと言っちゃなんだけど…貴女達だからこそ、話したいことがあるの。」
親友の久美子からの相談は昔から男関係のもつれ、と相場は決まっていた。
でも今の久美子は去年体験したファンタジーな世界を知る者としての相談なのは明白だった。
ただならぬ雰囲気を感じ、私達はビルの自販機コーナーのベンチで話を聞いた。
「大したこと…じゃないかもしれないから迷ってるの。」
「中津川さん、私が悪魔で小夜子ちゃんが妖精ということを見込んでの相談と解釈して宜しいでしょうか?」
「安藤さんまで人間じゃなかったんだ…!(この世界はどうなってんの?)
あ、ううん。
実はね、さっき貴女達が見てたキッズダンスの生徒さんの持ち物が無くなる事が続いてるの。」
「持ち物って…財布とか貴重品?」
「ううん。そうじゃないの。」
「じゃあ、まさか下着とか…。うわぁ気持ち悪い…!」
「…それに近いと言えば近いけど…無くなるのは決まってタオルかハンカチなの!
しかも被害者の子達は、更衣室に置いてたウチに無くした、とかじゃなくて、今使ったばかりのタオルやハンカチが目の前で無くなったって言うのよ!」
久美子が嘘を言ってる様に思えなかった。そして私の勘は確かに悪魔や妖怪絡みのニオイを感じていた。
続