瀬戸際の花嫁 4 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
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アジアン雑貨ティンブーで、ショーケースを磨く落合奈々子が真っ先に異変に気付いた。

「星明大変よー!」

冷凍庫から補充する食材を運んでた佐田星明が、奈々子の声を聞きつけ、小走りに駆け寄る。
取りあえずカウンターに食材を置き、奈々子の手元を見る。

異変の原因はタロットカードだ。
ソロモンの悪魔バラムこと原宗時が、「もしもの時」に佐田に預けた専用のマジックアイテムだ。

22枚のタロットは奈々子の眼前で激しく動き回り、一枚一枚が滝の様に流れ落ちては、竜巻のように舞い上がった。

「ちょっと星明、これどういうこと??」

「バラムと北御門さんに何かあったに違いない。
タロットが伝える緊急メッセージだ!」

「星明、タロット占い出来るの?」

「あぁ、魔王のたしなみとしての必修科目だな。」

奈々子の視線が、動くタロットから、それを見詰める星明の横顔へと移る。
今更ながらに、彼の万能スキルに惚れ直す奈々子であったが、原と北御門の緊急事態に気を持ち直すのに必死だった。

「止まった!」

一枚のカードだけが表を向き、後は裏返しとなった。
この一枚の暗示が二人の今現在の状況なのは明白だった。

「よりによって…塔(タワー)か…。」
端正な顔立ちは、眉間に皺を寄せても画になるからずっと見ていたいものだが、さすがに奈々子も、結果が気になる。

「ねぇ星明、タワーのカードってどういう意味?」

「状況は良くない。
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タワーの暗示は、そのまま『旅先のトラブル』だ。
バラムか北御門さんのどちらか、もしくは二人ともしれん。

予定通りなら、丁度東京に入ったくらいか…。
来れ!ソロモンNo.18『瞬速の悪魔』バティンよ!」

店の床に素早く六芒星の魔法陣を描き、溢れる光から悪魔を召喚する。
喚ばれた長身痩せ身で切れ長の目の悪魔は深々とお辞儀をし…。」

「事情は存じ上げておりますサタン様…。
しかし、神戸から東京間でバラム夫妻を捜索するのは、如何に私の瞬速を発動させたとしても…。」

「わかっておる。『探し物』に有能な者をお前の助手に付ける。
奈々子、『便利屋ブラウニー』に電話だ。
あそこはレディース専門店で、余がかけても門前払いだ!」

「うん、わかった!真利子ちゃんね!」

「なるほど、ソロモンNo.72アンドロマリウスの『盗品奪還能力』の逆利用とは、流石です」続