「悪霊退散ー!!」
「地獄へ堕ちろ~!!」
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最初はお客様として私の前に現れた宗時さん。
その出会いは、ただの(いや、規格外の礼儀正しいイケメン)アルバイトと思ってた佐田君の正体を知るきっかけとなり、私の人生を大きく変えた。
「大魔王サタン」が人間に化けた姿である佐田君は、色んな人(?)から狙われる存在だった。
たとえ彼が悪魔であれ、可愛い後輩の奈々子ちゃんの彼氏だし、佐田君も可愛いアルバイト店員だ。
私は大切な人達を守りたかった。
これまた宗時さんとの摩訶不思議なご縁から手にした日本刀「虎徹」に宿る幽霊「おみねちゃん」と私は意気投合し、今では「妖刀使い北御門瞳」として、「あちら側」ではちょっとした有名人だ(笑)。
でも、それは…私が宗時さんの傍に居たかったのが最大の理由。
「ソロモンNo.51の悪魔バラム」としての宗時さんの世界を知りたかった。
平凡な学生時代を過ごし、平凡にアジアン雑貨ティンブーに就職した私に取って、この一年はホントにファンタジーな一年だった。
天使、悪魔、幽霊、妖怪。学生時代より遥かに友人、知人、上顧客が増えたのは何故かしら?
占いサイトの社長であり、占い師であり、呪術師でもある宗時さん。
佐田君ほどじゃないけど、彼も時々危ない橋を渡る時がある。
先月、仕事上の付き合いを断られた妖怪の集団から逆恨みされ、奴らは婚約者である私に目を付け、脅迫まがいのことをしてきた。
でも…。
修業の成果とおみねちゃんの力、佐田君や真樹さんのアドバイス、そして何よりも宗時さんの愛のおかげで、私は独力で拉致監禁を試みた集団を返り討ちにしたの(笑)。
今までの努力が報われた奇妙な達成感があったと同時に、もう自分がとんでもない世界に踏み込んでるんだなという不安感。
その両方が私の背中を押し、保留していた返事を宗時さんにして、私は指環を受け取った。
ずっと守られるなんて嫌。
ずっと気にされ続けて足手まといになるなんて嫌。
私が彼を守る。
邪魔者は私がこの虎徹とおみねちゃんとで斬り捨ててやる!
と一生の決意をした。
両親には全部話せなかったけど、私達の仲を認めてくれたらそれでいい。
これで私達は魂のレベルで夫婦になれる…と思った時、急な目眩と息苦しさが私を襲い、神戸から帰る車を運転する宗時さんの隣で、私の意識は遠退いていった。
ごめんなさい、宗時さん。私は大丈夫です、そんな不安な顔しないで。