リプレイ
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「私の翼が!法衣が!」
ウリエル様の本気!
「聞こえない歌」の効果により、王明さんから翼は無くなり、法衣は背広に戻り、頭上に輝く光輪は消滅した。
「私に散々えっちぃ画像付きの念話を送り続けた仕返しよ!
自分がハッキングされた気分はどうかしら?『強制人間化』」
天使の翼は飛ぶだけでなく、羽根を飛ばして攻撃したり、畳めば貝の殻の様に防御にも使えます。
でも、「ただの人間」になった王明さんが「殺人の悪魔」の攻撃を防げるはずもなく…。
「や、止めろー!」
簡単に懐に入られ、持っていた両手のカッターナイフを下に捨て、空いた手の平で、王明さんの両手首を掴んだ。
「終わりだよ、お前。『男版・天女の羽衣』はサマにならねえな。愛故に堕ちた天女と、私利私欲故に堕ちた両世界の官僚じゃあ救いがねえか?
お前にはこの後、悪魔には手の及ばない天界裁判の被告人席が待ってるだろう。
ウリエル様の気持ちはそれで晴れるだろうが、俺の大切なアンドロマリウスの傷はそんなモンじゃ癒せねぇ。
だから俺みたいな汚れが要るのさ…。
これは文学の悪魔カールクリラノースとしての餞別だ。
受け取りな。
本日のメニューは夏目漱石著『こころ』でございます!」
殺人の悪魔グラシャ=ラボラスの別名は文学の悪魔カールクリラノースです。
対象者にあらゆる本の知識を直接脳に送り込むことが出来、その方法は…。
「ガツン!」
ホントは優しく額と額をくっ付けるんだけど、怒りの彼は相手の手首を掴んでから、思いっきり頭突きで叩き込んだ!
「…『精神的向上心の無い天使は馬鹿だ』…ミッション終了。」
王明さんは完全に気を失ってました。
今までの天使vs悪魔の戦いが嘘みたいに静かに眠っていました。
「…終わったね…。ミカエル様に裁判の手続きして身柄を引き取って…。
全く、どんだけ規約違反したことやら…。」
人間に戻された王明さん。
だが、彼が握っていた剣はまだ、形をそのままに転がっていた。
突然、剣は浮き上がり…。
「危ない!」
サタン様の声により咄嗟に避けたウリエル様だが脇腹を大きく切られた。
「Oh…。貴方がやられたら、アタシの出世はどうナリマスカ?役立たずデース!」
「…史香?なんで…。」
「私みたいな下級天使って簡単に買収されるのよね~♪」
史香と呼ばれる女刑事は、手にした刃を傷ついたウリエル様の喉元に当てた。
「動くな!」