Black or White ?④セキララ41 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

「純情なイタリア娘を演じるのに疲れてて、いい話と思って乗ったアタシが馬鹿だったわ。
パワーズ(能天使)だからって期待してたけど、ホントに使えないわね。」

「史香…?何で貴女まで能代警視の味方…を?」

左手で首を絞められ、右手で剣を突き付けられたウリエル様。
それより脇腹を深く切られ、声を出すにも苦しそうだった。
史香と呼ばれる女刑事は、大天使のウリエル様やラファエル様より下の「天使」と聞いていた。そう、頭に何も付かないただの天使は、9段階の階級の中で最下層のはずだ。

「何故って?
決まってんじゃない。マキはアークエンジェルでアタシはエンジェル。
華々しい仕事や役職に就いて人間から敬愛されるのは、ごく一握りの上級天使だけ!
アタシ達最下層のエンジェルは、上からの命令にノーと言えず、サービス残業を繰り返し、パワハラとセクハラに怯える毎日。

パワーズ(能天使)からヴァーチャーズ(力天使)への昇進が確定した能代警視から、『宇都宮真樹刑事を監視報告するだけでアークエンジェル(大天使)より上のプリンシバリティーズ(権天使)に飛び級で昇格させてやる』なんて言われて断るほどアタシは馬鹿じゃないわ!
四谷署での貴女達とのやり取りは楽しかったけど…所詮貴女は大天使でアタシはただの天使だわ。
目の前のチャンスなら屑男とも寝るし、仲間も売るわ!それが才覚無く生まれたアタシみたいな凡百の天使の生きる術なのよ…。」

「史香…。」

私は目の前で天使が天使を人質に取るというあり得ない状況を見せられても、彼女を否定出来なかった。
私だって序列72位で最下位のコンプレックスが無かったら、人間界に行こうなんて思わなかったです。
それに能代さんの上昇志向の強さは確かに欠点だけど、私が彼の野心に惹かれたのは間違いないわけで…。

「でも、こいつがパクられて天界の捜査がアタシにまで及んだら全て終わりよ!
だからアタシはアタシの要求を通すわ!」

「史香!馬鹿な真似は止めて!
私なんか人質に取って、出世のゴリ押しが通るわけないでしょう?
ねぇ、だから考え直して、この剣を下ろして!」

「出世?昇進?馬鹿言わないでよ。
もうそんなのどうでもいいのよ!
アタシが欲しいのは…かつて天使長ルシファーの右腕を切り落とした天界の至宝『ミカエルの剣』よ!
アタシは階級に縛られる天使でも、契約に縛られる悪魔でも、情欲に流される人間でもない!
アタシこそ神よ!」続