ラストバトルⅨ~セキララ37 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

天使の翼は強力な「盾」にもなる。殺人の悪魔としてグラシャ=ラボラスさんの手刀は鋭利な刃物そのものだ。
能代警視は「人間として」その攻撃を防ぐことは出来なかったわけで…。

「会話の途中で切りかかるとは…。風貌とおり躾のなっていない犬ですね…。」

「政府の犬、天界の犬のお前に言われたら終わりだな。
だが、相手が誰であれ、俺のアンドロマリウスを傷つける奴は許さん!!」

いつも喫茶ロビンフッドでお気楽なウェイターをしてる時とは全然別人の様でした。
ここまで激昂する彼は初めて見ました!
でも、頭は冷静で完璧なガードを誇るパワーズの翼の僅かな隙間を左手の手刀は逃さず…。

「キン!」

能代警視はかろうじて剣で防ぎ難を逃れました。
彼が抜いた剣は、鍔は狭く、長めの柄に装飾がある直刀でした。インド出身の天使達が好んで使用する天界の標準装備です。
それを見た瞬間、私の疑念は確信に変わり…。

「やはり貴方だったのですね…。
2000年以上前に、私とミカエル様が初めて魔界に赴いた時に護衛をしてくれた天使。
『インド仕込みの剣術で私達を守る』と言って、使命感に燃えてた少年天使。
能天使インドラさんこそが能代王明警視だったのですね…!」

「王明さんが能天使…あのミカエル様の護衛を任されるほどの…。」

真利ちゃんの心傷はいかほどだろうか?

探偵と警察という仕事のパートナーの一線を越えてしまったこと。
その相手が既婚者であったこと。
その正体が本来、人間や妖怪、妖精を正しく導くべき天使だったなんて…。

「元々隠すつもりはありませんよ。
仁王、帝釈天、不動明王。呼び名は様々ですが、闘神と書いて『インドラ』と呼ぶのが一番気に入ってます…。」

「時の流れは残酷だな、インドラ殿。
あの時の純朴な少年天使は見る影もないな。
人間の肉体が合ってないのか?
それとも貴公の魂が腐るのに2000年は短かったか?」

星明も怒りを抑えた口調で話しました。
このギリギリで理性を保てるのが大魔王の威厳なわけで…。

「サタン殿、その質問の答えは両方ノーです。
私を変えたのは正しくあの護衛以来ですよ。
私の心は奪われてしまったのですよ…。
そして今日この時こそ、2000年来の憧憬に決着をつけます…。そして春からは力天使ですよ…。」

やっぱり!
インドラさんは魔界での護衛以来、一方的に私を好きになったかもしれないわ!
じゃあ何故、結婚したのよ!?