セキララ 2 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

「みんな~!本物の刑事さんがみんなのお話聞きたいんだって~!」

部屋の奥に案内されると、亜由美と名乗る年長の女の子の呼び声に反応し、6人ほどの子供達に僕は歓迎された。

「凄~い、これが刑事さん?拳銃みせてー!」

「え~、ミッチーほどイケてないよ」

「嘘だー!本物の刑事は汚いコート着てるんだよ。偽物だー!」

聞き込み調査で訪問したつもりが、僕の方が子供達の質問攻めに合ったが、ここが曲がりなりにも「託児施設」として機能しているのには安堵した。

子供達のエネルギーに圧倒された僕を助けてくれたのは、落ち着いた雰囲気で如何にも高級そうな眼鏡をかけた知的な年配女性だった。
そう、世間一般に「PTA会長」なんてイメージするような…。

「はいはい、口々に喋らないでまず相手の話を聞きましょう、っていつも言ってるでしょう?
刑事さんが困ってますから、私がみんなの質問をひとつひとつしてあげますから。
亜由美さんはお茶の用意を。」

「は、はい!すみません。」

中山と名乗る年配女性に促され、やっとテーブルで話が出来る。
それはいいが子供達が興味津々で僕を取り囲むように体育座りしてるのだが…。

「これでも『無認可保育所』の風当たりに気付かないほど無神経ではありませんわ。
刑事さん、今日は抜き打ちの監査ですか?
それとも何方の通報かしら?」

「通報なんていつもでっち上げじゃない!子供達が遊べば声くらいするわよ!」

「亜由美さん、落ち着いて。こちらの刑事さん全てに責任があるわけじゃないでしょう?」

「う、うん…。」

「フォローありがとうございます。ええと中山さんでしたね。貴女はこちらの…?」

「はい、『自然の家・ネイチャーハウス』の設立者の理念に共感し、働かせて頂いております。
刑事さん、待機児童の社会問題はご存知でしょうか?」

「ええ、まぁ世間並には。」

「ここは保育と託児だけでなく、子育てが一段落ついた主婦の再就職と、学校に馴染めなかった生徒の自宅学習のメリットもあります。
私は元教師ですし、この子亜由美さんは『保健室登校』の生徒さんでした。
それが私や保育士の手伝いをする傍ら、勉強に再チャレンジすることで『大検を受けたい』なんて言い出したんですよ?
近藤さん、貴方個人にどうこう言うつもりはありませんが、一部の近隣住民の批判だけを聞くのは国家の怠慢ではなくて?」

「は、はい…。」

(これが売春組織か?)