セキララ 1 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

「はい、これが最終報告書だよ、安藤くん。」

「ありがとうございます、所長…じゃなかった、中野さん…。
現役を退いた中野さんにこんな依頼を…。」

「全然簡単なミッションだったよ。
でも、自分で調査しようと思えなかったのは、やはり私情の絡みかい?」

還暦を迎えた紳士は何年過ぎても私の師匠であり、恩人だった。

あの女性からの電話がどうしてもイタズラと思えなかった…。
警察官、特に公安の彼は恨みを買いやすいのはわかる。
探偵の私を恨んでる者も少なからず居るだろう。
でも…探偵をして五年、彼と過ごした三年を嘘だと思いたくなかった。
元上司の中野さんに調査を依頼したのは私の弱さだ。
彼女として彼に問い詰めるのも、プロの探偵として自分で調査することも出来なかった。

王明さんは本当に既婚者かどうか…?

私は三年間騙されたかどうか…?

全ては中野さんが持参したこの封筒に…。
****

う、上が…ぼ、僕を指名したんだ。
頑張らないと…。

これは囮でも潜入でもなく、ただの聞き込み捜査なんだ…。

少女売春組織なんてただの噂であってくれよ…。

「ピンポーン!」

ごく普通の住宅街のマンションの一室。

表札には「自然の家ーネイチャーハウス」って書かれてる。ここまでは事前情報と一緒だ…。

「は~い!」

インターホンの声ではなく、直接ドアが開いた。

現れたのは制服姿にエプロンの女性だった!
まさかイメージプレイ実施中?
こんな清純そうな女の子がなんで?

「あれ?この時間にお迎え入ってましたっけ?どちらのお父さん…ってお年でもないですよね?とにかくどうぞ。」

高校生?にしては落ち着いた微笑みを返す少女。

そうだ、この部屋の表向きは…。

「いや、僕は子供を預けてる親じゃない。
警視庁四谷署の近藤です。
こちらは無認可託児施設の『自然の家・ネイチャーハウス』に間違いありませんね。
お話を聞かせて貰いませんか?」

潜入捜査じゃないのは身分を明かせる利点だ。
僕が刑事であることでまずは様子を見る。
ホントにこの子がお客を取るような女の子か?
確かにこんな普通の女の子が制服エプロンでサービスしてくれるなら…。って、僕は何言ってるんだ?

「ええ~?それホンモノの警察手帳ですか~?
初めて見たー!」

え?あのう…宇都宮先輩、この反応は白ですか?黒ですか?

「ねえねえ、制服のお巡りさんじゃないなら刑事さん?凄~い!」