私、北御門瞳。3?歳。
まさかこの年で「妖刀使い」としてデビューするとは思ってませんでした。
彼氏は十戒で有名なモーセを苦しめた占い師「バラム」の生まれ変わりで、後輩は大魔王サタンが人間に化けた姿…。
はい、とにかくファンタジーな生活しています。
権威を振りかざし、例外も譲歩も認めない天界は散々、サタンである佐田くんに嫌がらせをして来ました。
面と向かって攻撃せずに、下級悪魔や淫魔を使役する所が、天界の陰湿なやり方です。
佐田くんが人間界ではサタンの力に制限がかかることを知っているから!
そして今日も…。
『佐田さん、クリスマスの予定はありますか?』
見た目そっくりな三人の女子高生が店に押し掛ける。
『私達と聖夜を過ごしませんか?』
三人の女の子がロボットのように同じセリフを同時に喋る。怪しすぎよ!
(おみねちゃん、出番よ!)
(OK~!若さだけで誘惑が成功するなんて思ってる小娘は個人的にお仕置きね!)
(同感!)
愛刀・虎徹に宿った幽霊のおみねちゃんと魂を親和させる。妖力を一気に高めて三人纏めて切るつもりが…。
「駄目です!北御門さん!こいつらは別格です!」
ギリギリの所で制止され、慌てて刀を納める。
と、同時に今度は一人の男子高校生が店に入ってくる。
「仁くん!」
「お久しぶり。瞳姉さん。
姉さんの職場に格好いい店員が居るって言ったら、ウチの学校の女子三人が会いたいって言ってさ~。」
神尾仁。私の姉の子供だから甥になるが、叔母さんではなく姉さんと呼ばせてるけど…。
「流石は大魔王サタン。
彼女達が淫魔じゃないことが良くわかったね?」
「仁くん!貴方…?」
「危険です!子供達は天界の『干渉』を受けてます。この不自然な現象は、よりヤハウェに近い者が『現実』を操作しています。
ヤハウェよ!どうせ聞いているのだろう?
譲歩や例外を認めぬ気持ちはわかるが、天界に居るルシファーと奈々子の魂を早く分割しろ!」
「せっかちだねぇ、相変わらず。
だから僕が『使者』として来たんだ。
スフィンクス宜しく、君が問題を解いたら、落合奈々子を解放しようじゃないか?」
「問題だと?ふざけるな!」
「至って本気だよ。
君への問題は、『僕が誰か?』だ。
ヒントはこの人間達の名前だ。
さぁ君達も名乗って。」
『は~い』
「獅子尾智子(ともこ)」
「牛尾智子(さとこ)」
「鷲尾智子(あきこ)」