あの子と遊んじゃいけません 13 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
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拓哉の五人抜きで勝負を振り出しに戻した。
残るは2vs2。
つまり1~4組の最も大柄な騎馬での最終決戦で、各クラス代表戦の様な者だった。

白組は三組も四組も、最も軽量な者を騎手としていた。
四組は重量級の佐野が上に乗れないから前衛を務めるのはわかるが、三組が軽量な八木を騎手に選んだのは、騎馬の安定だと拓哉は思っていた。

だが…。

「ピッ!」

ここでも拓哉が勝てば遂に赤組がアドバンテージを奪うことが出来る。

白組の八木が繰り出す右手を拓哉は以前までと同じく右手で捌き、残る左手で帽子を狙う。
しかし、八木の右手は瞬時に引き戻され、自分の帽子をギリギリで死守した。
この手の引きの早さは、空手経験者の証明だった。
流石に六人も同じ手は通じなかったと、真っ向勝負に切り替える。
拓哉も右手を、八木も左手を、お互いに利き手じゃない方も駆使しながらの一進一退の攻防。
そして…。

八木は拓哉の右手に左手を重ねる事に成功し、拓哉も八木の左手から帽子を守る為に右手で掴みに行くしかなかった。
そう、がっぷり4つに組合ったのだ。
いわゆる「力比べ」だ。

90年代当時は「馬崩し」も普通の戦法だったので、組み合ってからの「引き落とし」も「押し倒し」も全然ありだった。
拓哉は華奢な少年だった。身長は遥かに拓哉の方が大きくても、筋力では明らかに劣っていた。
また練習時から馬上の安定に欠く仲間達だったが…。

八木はガッチリ組んだまま(指と指が恋人繋ぎのようになっまま)、自分の右手で拓哉の左手ごと帽子を払った。

「ピッー!」

組まれた拓哉はやはり脆かった。
拓哉の連勝は五人抜き止まりだった。

退場する拓哉の騎馬には会場から割れんばかりの拍手が起き、それは勝利した八木の騎馬以上だった。
残りは1vs2。2組の林くんの騎馬だけだった。
そして…。
八木の騎馬も、4組の佐野を前方とする最終馬も、彼の敵ではなかった。
赤組林くんの逆転二連勝で勝利。
これで一回戦の勝利を含めて2-0。
拓哉の大将戦を待たずに赤組の勝利確定となった。

取りあえず行われた大将戦。
取りあえず大将の証を示すタスキを掛ける拓哉。
自分が守ってる間に林くんが白組の大将の帽子を取るかと思ってたら…。

「ピッー!」

「落馬したじゃないですか!?」

拓哉に襲いかかる騎馬を軽く押し返したら相手は落馬した。しかし、崩れると同時に拓哉の帽子を取ったのが有効とされた