あの子と遊んじゃいけません 3 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

岸元は順調に4組の佐野とのペアで組体操の技をクリアしていった。
拓哉も学習にハンデのあるケンタローとのペアを無難にクリアしていった。
初期のほど奇声を上げることもなければ逃亡を謀ることもなく、付きっきりだった養護の先生が日に日に遠くから傍観するようになってきたのが何よりの成果だった。
最初は自分だけが貧乏クジを引いた様に感じたが、自分だからこそケンタローとのコンビを成立出来るようになったと思えるようになるのはまだ先である。
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組体操の難題は比較的早めに解決したが、それ以上に問題なのは騎馬戦であった。
1組と2組の紅組対、3組と4組の白組の対決である。
よって騎馬戦の組は各クラスが身長順に四人事に区切られただけであり、メンバーの変更は認められなかった。
よって拓哉の騎馬チームは1組の背の高い四人がそのままチームである。
メンバーは高い順に

拓哉

目立つことを嫌う大人しい少年。クラス内徒競走順位6位。
アダ名は「提督」

岸元
身体は大きいが勉強、スポーツともに苦手な少年。徒競走着外。
アダ名は「五右衛門」

永田

双子の弟が3組に居る。兄弟揃って文武両道だが、二卵性の双子の為、外見は似てなくて弟はイケメンだが兄は12歳にして貫禄十分なシブメン。徒競走順位2位
アダ名はそのまま「社長」

児山
私立受験が決まってるインテリ。
ヘルメットみたいな坊っちゃん刈りがトレードマーク。
徒競走順位3位。
アダ名はそのまま「ヘルチ」

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騎馬を組む四人の内、ポジション編成はチームの裁量に任されていた。
流石にそこまで教師は口出ししなかった。
上に立ち帽子を取りに行く者と、前方と右翼、左翼。
誰がどのポジションにつくかで各チーム「熱いミーティング」が繰り広げられていた。
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「一番デカイ提督が上に立てば、大きい分相手に負けないよ!」
(え?俺?)

「そうだよ!五右衛門が前で提督が上なら最強だよ!」
(え?岸元が前?なんか嫌な予感が…。)

それはインテリ二人組の「回避策」だったかもしれない。
児山と永田は無難に左翼と右翼を希望したのだ。直接勝負をする上に立つ役と、馬潰しのぶつかり合いに遭遇する前方を避けたのだ。

(俺が帽子を取ったり取られたりする役…。責任重大だな…。)

拓哉は早くもプレッシャーを感じたが、それ以前の問題が起きた。
三人が騎馬を組んでも、上の拓哉を乗せて立ち上がれないのだ。