ヘリコプターでの夜間飛行は、南部に反省を促す時間を与えた。
「蒼磨様、申し訳ございません。自分は、自分は…。」
「いいんだ、彩くん。君が無事ならそれでいいんだ…。
真壁先輩、本当にありがとうございます。」
「こ、この救出劇は全て島さんが…?」
「そうだよ♪敦子は前から大島を怪しいと疑ってたらしい。
ほら、前に南部さんが敦子のアパートにお泊まりした時にさ…。」
「ま、まさか自分はアパートの外に居るパパラッチらしき者にボールペンを投擲しましたが…?」
「南部さんの『手裏剣攻撃』は文字通り大島にとって『痛手』だったらしい。
右手を負傷し、腫れた手首を隠す為に幅広の腕時計を右手に付けて隠してたらしいよ♪」
「その時から島さんは大島編集を疑って…。何という洞察力。それに引き替え自分は何という未熟な…。」
「こら、彩くん!君のそういう性格を戒めたくて、島さんは僕と真壁先輩に一任して荒療治を決行したんだよ!
…君が『助けて』とメッセージを発信出来たことは僕も嬉しいよ…。」
「そう言いながら、蒼磨の長所って『金持ち』ってだけなんだよね~♪」
『冗談、冗談!ほら、着いたよ」
見慣れた公園に夜も構わず爆音を残し、着陸するヘリコプター。
降りた三人が向かう先は…。
「お帰り~!!
良かった!成功したンだね。心配だったんだよ~!」
「島さん!申し訳ございません。
ご心配を…。」
「この馬鹿彩!
私達友達じゃない…!
作家とかサッカーとか関係ないんだから…。
大好きだよ、南部ちゃん。ずっと友達って決めたんだから…。」
「私もです…。
今回の事で…わかりました。
島さんが嫌と言っても、私の一生の友と決めましたから…。」
「一件落着だね♪
俺は今夜ここに泊まるから、南部さんも蒼磨も泊まれよ!」
「それがいいわ!カーテンで仕切るからどうぞ私達に構わずに♪麻縄でも鞭でも手錠も蝋燭も私の部屋には揃ってるから、お好きにどうぞ~。残念ながらカエルはないけど♪」
「やめてください!
ただ四人でお泊まりするだけですから!
そ、そのような状況で出来るわけありませんから!」
「……。」
「……。」
(三人全員で)『え?何を?』
「ウワァ~ン」
(完)
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あとがき
島敦子(作家・志磨子)の少女時代は「フブンリツ」を。
彼氏の真壁一樹の物語は「モトサヤ」を。
島、南部の出会いは「テッペキ!かるてっと」で