バティンレポート。虎徹を買う女 3 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

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このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

氏名…原 宗時(はらむねとき)

年齢…37歳

職業…占いサイトの運営代表。

趣味…占い研究。

特記事項…保護対象者の北御門瞳様との接触は非常に紳士的であり、共通の趣味である占いを通じて良好な関係を構築している。

「虎徹」の販売を個人的に持ち掛けようとするような、金銭のやり取りは現在見受けられない。
但し、未だに専門の刀剣商を訪れた様子はない。

また食事代金の支払い程度を除いて、高額の贈答品を北御門様に贈った形跡はなし。

調査人バティンは以上の七日間の調査結果から、対象者の原宗時より彼の所有する刀「虎徹」に秘密があると推察する。

この虎徹に「妖刀」もしくは天界からの過剰の「加護」の可能性が見受けられる為、対象者の自宅に潜入捜査の許可をお願い致します。

ソロモンNo.18 バティン

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「なるほど、やはりあの男ではなく、虎徹そのものが『意思』を持ち操られてる可能性が高いか…。
よし、ならば潜入捜査の前に無駄足かもしれぬが…。」

「警視庁から既に情報提供して頂いてます。
ウリエル様がユーレイ課に掛け合ってくださるそうです。」

「…流石は余の最も忠実な下僕バティンよ…仕事が早いな…。
ウリエル姉さんも人間界がよほどお好きなようだ…。
で、ユーレイ課とは?」

「俗語でございます。
『有力証拠ゼロ課』の意味で、迷宮入りした不可思議な案件を扱う警視庁の特別チームです。
その殆どは妖怪、幽霊、悪魔が関係した事件を担当する人間に化けた天使や霊能力を持つ人間で構成されてるそうです。」

「ウリエル姉さんも常々、『優秀な部下がほしい』と言っておられたからな…。
良い傾向ではないか…。」

佐田星明は自分のアパートでバティンからの報告を聞き入れた。
魔界を統括する大魔王サタンとして、「妖刀」などは見過ごすことは出来ない。しかし、怠惰で怠慢な天使が無駄に刀に天界の能力を手違いで与えてしまった可能性もある。
その辺りも含め、人間として警視庁に務めている姉にして大天使のウリエルに聞き出したい所だった。
だがそれ以上に久しぶりの姉との再会に心が踊るサタンこと佐田星明だった。

****
(翌日とあるカフェ)

「ヤッホー!星明!元気そうじゃん♪
奈々子ちゃんの帰り遅くてごめんね、上の連中たら…。」

「いえ、それより…。」

「うん…実は『虎徹』で切られたって傷害事件が多発してるの。
私達も彼をマークしてるわ」