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ソロモンNo.37フェニックス
元はエジプト地方のフェニキア人を守る守護鳥フェニキアスに由来する。
中国由来の鳳凰や不死鳥、熊本の火の鳥など世界各地に「死」を超越した鳥の伝説があるが、火葬や鳥葬、また当時の人間達の大空への憧れが、翼を持った天使像に表現されている。
現在では火山の硫黄を吸って身体が紅く変色したフラミンゴを見て、「死からの復活」をイメージしたのが起源との説が有力である。
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「ホントに綺麗な声ですね。」
喫茶ロビンフッドで、ピアノの弾き語りをするフェニックスさん。
明らかに鳥さんの姿だが、翼を器用に駆使して鍵盤を叩き、嘴のある口から紡がれるその声は喫茶店内のお客様とスタッフを魅了した。
「声だけじゃない。
自作の詩もなんて悲しくて、でも癒される詩だよ…。」
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歌い終わり、常連客と歓談するフェニックスさん。
彼女(?)が鳥の姿であろうと関係なく、お客は自腹でアイスコーヒーを奢り、彼女を賞賛した。
すっかり店の人気者となり、阿蘇での営業も順調な滑り出しかと思えた。
「フェニックスさん、本当にありがとう。
君の歌が新規オープンの目玉になるなんて思って無かったよ!」
「あのう、テリーさん。少しお話が…。」
お客様から人気を博しても、どこか元気がないフェニックスさんだった。
「ロビン店長もブエルさんも今は居ないから、僕でよければ。」
「…ありがとうございます。
あのう…私、この姿って不便なんです…。」
「そりゃそうでしょ!
よく鳥の姿でピアノ弾いてるなと思ってましたよ!序列37位の悪魔なら、人間に変身出来るでしょう?」
「はい、変身は出来きますが…。」
人間化したフェニックスさんは、控え目で大人しそうな痩せ身女性だっだが、セミロングでストレートの髪は血の様に赤かった。
そしてフェニックスさんは途端に黙り、筆談を始めた。
『人間の名前は鳳明日香です。
私は人間化すると、酷く醜い声になって、周囲の方に迷惑をかけます。』
「そうなんだ…。」
「大丈夫、私とブエルで君の最適なパートナーを見つけてきたよ。」
「お帰りなさい、店長。
そちらは?」
「マーメイドの鮎川沙代理さんです。私は『宝物』を探す力、ブエルは最適な部下を与える力があります。歌声と不老不死は貴女と共通しますので、共感しあえるでしょう」続