「熊本県阿蘇地方です。」
「高千穂は無理だったのかい?」
「あそこは今人気ですから。」
「…四谷は少し噂になり過ぎましたからね…。ここでの臨時営業が軌道に乗るといいね…。」
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喫茶ロビンフッドの阿蘇店も順調にオープンしました。
一度繋がりを持った常連さんは空間を超越して会いに来てくれます。
勿論、その殆どが妖精や妖怪と呼ばれる方達ですが…。
「いらっしゃいませ。」
「あのう…。」
小さく呟く様な声でも、カナリアのさえずりのように美しい声だった。
しかし…。
「申し訳ございませんが、今のお客様(?)にご用意出来る席は…。」
「席はたくさん空いてるじゃない!
犬や猫はOKなのに私だけは駄目ってどういうこと?」
「確かにウチはペットOKですが、ペットのみのご来店というのは前例がなく…。」
「私は誰にも飼われてません!
貴方、どんな風に客を見てるの?
責任者を出して!」
「申し訳ございません。テリー!お席にご案内を。
ブロッケン、お詫びしなさい。」
「全く!
あそこで熊が紅茶飲んでるのに、どうして私が駄目なのかしら?」
「お客様、あちらの方

は着ぐるみに宿った九十九神ですので…。
指、いえ翼を指さないでくださいませ。」
「椅子が高そうですね。
ブロッケン、キッズシートを用意して。」
「貴方は気が利くのね。」
「ご注文は?」
「アイスコーヒー。嘴が邪魔だから必ずストローつけてね。」
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「はじめまして。
『哲学と心身治療の悪魔』ブエルです。
ご相談をお聞きしましょう。」
「貴方を頼んだ憶えはないけど…。
聞いてくれるなら有り難いわ。
実は私…鳥なんです。」
「見ればわかります。
こんな姿

で来店されましたら。」
「実は…私、行く先によって扱いが違い過ぎて…。
霊鳥や神様の様に扱ってくれる所もあれば、ただのフラミンゴ扱いの時も…。」
「不死鳥、鳳凰、そしてここ熊本では火の鳥。その正体はソロモンNo.37『詩と歌声の悪魔』フェニックス!」
「私、悪魔と呼ばれるのが嫌で、新興のサタン様からお暇を頂き、この東の地でひっそり…。」
「お帰りなさい、フェニックスさん!
またウチでピアノの弾語りしてください」続