エイエン 3 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

こちらは「下」です。「上」「中」をまだ読ませてない方はそちらを。

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「いらっしゃいませー!ご注文は?」

「アールグレイと沙代理ちゃんのメアド(笑)!」

「もう!お客様ったら冗談ばかり!」

新入りウェイトレスの鮎川沙代理ちゃんはあっという間に店の人気者になりました。
ウェーブのかかった長い髪と大きな胸は、人間界の年齢で23歳と思えないほど、大人の魅力たっぷりです。
そして何気ない仕草や言葉遣いが女の私から見てもセクシーで…。
やっぱり人魚族って天然の「魅惑(チャーム)」の能力を持ち合わせてるのかしら?
私達、悪魔族や人間の術士なら長い呪文が必要だけど…。

「じゃあ、お疲れさま、沙代理ちゃん。
明日香ちゃんも上がって!今日も二人でレッスンなんだろ?」

店長のロビンさんに頭を下げ、私は店をでる。
これからは沙代理ちゃんと私の「夢へ向かう為の時間だ。」

あっ、申し遅れました。
私はソロモンNo.37「詩と歌声の悪魔」フェニックスです。
そう、鳳凰とか不死鳥とか火の鳥で超メジャーな「霊鳥」です。
フィクションの世界では人気者ですが、ユダヤ教由来のソロモンの悪魔では72人中の37位の伯爵だそうですが、転生を繰り返す内にそんな記憶薄れていくし、今はただ、詩を書くことと、歌うことしか能がない29歳の地味女性です…。

鳥の姿で妖精や妖怪仲間と歌い続ける分には、何の不自由もないのですが、21世紀で全く人間と関わらずに生きていくのは難しく、でも私が人間化すると、酷く醜い声になり、周りの人間に迷惑をかけます。
だから人間化した時は沈黙を守り、全て筆談で会話します。
おかげで人間化した私は人間社会に馴染めず、詩を投稿して僅かなお金を得るくらいで…。
でも、今またこうやって、この喫茶ロビンフッドでピアノの弾き語り(鳥の姿で歌えるのは人間が来店しない時だけ。人間化した時はピアノのみ)をさせて貰えるだけじゃなく…。

「私、お姉さまの詩に感動しました!声には自信あるけど、作詞作曲は苦手で…。絶対二人でメジャーデビューしましょう!人魚と不死鳥のユニットなんて最強です!」

私の涙は傷を治し、私の血は永遠の命を授かるという。

でもそんな事しなくても私自身が永遠を手に入れた。
人魚の沙代理ちゃんを人間としてプロデュースすることだ。

「フェニックスの歌声を聞いて自我を保ち続けれた契約者は、科学による富を授かるだろう。」