「レビアたんの封印は、サミアちゃんが引き出そうとする記憶に鍵をかけることで、サミアちゃんの記憶そのものは残ってるはずだ。
そして僕とレビアたんとの契約で、サミアちゃんの方から過去を話したり、ヒントを与えられないなら、僕からサミアちゃんの記憶に飛び込むしかない!
そう、『夢魔』のナイトメア将軍が『夢渡り』をしたように。」
賢司くんの驚きのアイデア。
サミアちゃんはそれを気付かせたくて、妙子ちゃんに『魔女っ子戦隊テッペキ!』のDVDを観たいと言ったのかもしれない。
「…賢司くん、任せたわよ。顔も名前もわからない新聞記者さんをネットで検索するよりも、直接サミアちゃんの心の中に聞いた方が得策だわ。」
「ま、待ってください、何も不確かな明治時代に行かなくても…。」
制止したのは妙子ちゃん。さっきまで賢司くんの隣でDVDのマル秘シーンを意識し過ぎて赤面しまくだったけど、ようやく正気に戻ったみたい(笑)。
全部片付いたら鑑賞中にどんな妄想してたか問い詰めてやるわ(笑)。
「何?宮崎さんは何かもっといいアイデアあるの?」
「サミアちゃんと交流があったのはその新聞記者さんだけじゃありません。『砂の妖精』の作者イーデス・ネズビットさんがいます。
身元も年代も知れてる彼女と触れ合った記憶に飛び込んだ方が確実ですよ!」
そうだわ。妙子ちゃんの言う通り、ピンポイントで作家のネズビットさんとの記憶を探った方がいい。
でも…。
「宮崎さん、確かにいいアイデアだよ。
でも…致命的な欠陥がある。」
「何ですか?」
「ネズビットさんはイギリス人だ。
僕達全員、英語がわからないよ!」
「そっかぁ、それは駄目です。」
「と、とにかくサミアちゃんのお願いは一人一回よ!賢司くんがダイブして空振りでも、まだ私と妙子ちゃんのお願いがあるわ。」
「じゃ、お願い!サミアちゃん」
「頼んだぞ。ゴッドブレスユー」
いつもの息を吹きかける仕草じゃなく、賢司くんとおでこを合わせる。
途端に二人とも床に倒れ深く眠った。
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(明治8年)
「カツヒロ…私に取って食事楽しむ為のものだ。
お前が食べなくてどうする?
今日も絵は売れなかったのだろう?」
(これがサミアちゃんの記憶?
当時は普通に貴族風のドレスを着てたんだ…。
姿は同じ11歳だけどね。
これが問題のカツヒロさんかぁ。
この時はまだ記者じゃなくて絵描き?なんだ。長髪に鉢巻き?)だ