昼休み。
燿子ちゃんは宮崎さんにはサミアちゃんの核心に触れずに、聞きたい文学作品の話だけを聞いた。
「『猿の手』は聞いたことはありますが、読んだことはないんです。
でも、お母さんが読んでたジャンプコミックの『アウターゾーン』って漫画に、それをモチーフにした『宇宙人の手』って話は読んで凄く怖かった印象が残ってます。」
「えっ?『宇宙人の手』?知らない、読んだことないわ!教えて!」
漫画好きな燿子ちゃんも知らなくて当然か。
宮崎さんのお母さんが読んでた漫画だもんね。
僕も聞きたい。サミアちゃんとサミアちゃんの願い事にまつわる話を違った角度から書いたと思われる「猿の手」をモチーフにした漫画の話を…。
※以下、ネタバレ注意です。
ある日、古本屋を営む兄妹の下に、古い友人の男性が訪れます。
男は包みに入った「宇宙人の手」を幾らかのお金で買い取ってくれとお願いにきたのです。
古本屋の兄は事情を聞く為に男と喫茶店に行きました。
男が言うには、この宇宙人の手は三つの願いを叶えてくれる。
しかし、願いが叶った大きさの代償分の不幸を背負うことになると。
兄はわけのわからない物は買い取れないし、お金に困ってるなら少しだが貸してあげると言いました。
しかし、男は、「俺はこの宇宙人の手から逃れるには、誰かに押し付けるしか方法がないんだ。捨てても戻ってくるし、燃やそうにも火が付かないんだと。
兄は不審に思い、まずは自分で一つ目の願いを試すことにしました。
しかし、男は言います。
「待て!最初はなるべく細やかな願いにしろ」
と。
兄は「願わくば一万円くれ。」
と言いました。
すると喫茶店のウェイトレスがコーヒーを自分の服にこぼし、クリーニング代として一万円を貰ったのです。
ようやく兄は話を飲み込み、事情を聞きました。
男は「手」を手にすると、まず最初に「大金が欲しい」と願ったそうです。
すると家が火事になり、両親が亡くなり、保険等で一億を手にしました。
次に男は「以前から好きだった女性と結ばれたい。」と願いました。
すると今までと女の態度が変わり、自分に寄ってきて結婚することになりました。
しかし、それは男が持っている一億が目当てでした。
結婚してからの彼女は浪費家で、財産を食い潰しました。
堪らず男は最後の願いを言ってしまいました。「妻を殺してくれ」と。
その女は死にましたが、女の兄が実はマフィアで追われることになったのです。続