「えっ?燿子ちゃんて、『テッペキ!』なんて観てるの?案外子供なんだね~?」
悪者が毎回魔女っ子に倒される「お約束」の子供番組を燿子ちゃんが観てるなんて驚き!でもそれより驚いたのは燿子ちゃんとサミアちゃんの反応なわけで…。
「あの作品をお子様向けと思ってる賢司くんの方が子供よ!これだから…。」
「止めよ、燿子。
男性の幼児性に寛容なのは善い女性の必須条件じゃ」(小声)
「なるほど~。確かにクラスのモテる女子は無闇に男子とケンカしないわ」(小声)
「なんだよ~!ジャンプアニメの方がいいだろう?」
「止せ、賢司。『負けてやる』のが男の真の強さじゃ。」(小声)
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「ゴッド♪ブレス♪ユー♪」
燿子ちゃんに魔法の息を吹きかけるサミアちゃん。
煌めく風に包まれ現れた美青年。
これが本当の魔法…!
「う~ん、アニメの三次元化には限界あるけど、貴方は貴方で十分だわ!
サミアちゃんありがとうー!」
喜ぶ燿子ちゃん。当然だ。願いが叶ってイケメン家庭教師が目の前に現れたんだから。
「さぁ、何から教えましょう、レディ?」
「詳細設定はワシの好みとサービスじゃ♪」
「グッジョブよサミアちゃん!
我が人生一片の悔いなし!」
うわぁ、リアルにラオウのセリフ使う人初めて見た。
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サミアちゃんはたくさんのヒントをくれた。
そして燿子ちゃんはそこに辿り着いた。
『決して解けない魔法』
の求め方だ。
いじめっ子に負けたくないなら、『やっつけて』とか『強くして』は駄目なんだ。
正解は『負けない自分に導いてくれる人』だと思う。
楽しそうにベンチでマンツーマンで勉強する二人。
何だか面白くないのは、先に燿子ちゃんが答えに辿り着いたから悔しいだけだ。
確かに僕は子供っぽいかも…。
「不満そうじゃな賢司よ…。
『お前の願い』であの家庭教師を吹き飛ばして砂に変えてもよいのじゃぞ?」
「止めてよ!燿子ちゃんが怒るよ!
吹き飛ばし…そうだ、こんなのは…?」
「ほう、意外とお前もワルよのう…。
ゴッドブレスユー…。」
「何?賢司くんは何をお願いしたの~?」
勉強に夢中だった燿子ちゃんが、僕の願いを叶えるサミアちゃんを見て立ち上がった。
その時、
「キャー!突然、何よこの風ー!」
日没なんて関係ない。
たった一秒で十分だ。
僕は燿子ちゃんの白とピンクの縞々を一生忘れない。我が人生一片の悔いなし。
(続く)