サミアちゃんのご高説7 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

「まぁ、ジェイコブズの仮説は推測の域を出んがな…。
ワシだって同族達の最期を見たわけではない…。
但し、ネズビットもジェイコブズも、肥大化する大英帝国に、人間の欲望や業の深さを作品に照らし合わせた気がしてならんのじゃ。
何よりもイーデス・ネズビットは政治活動家でもあり、ウィリアム・ジェイコブズの妻は婦人参政権運動家でもあった。
イギリス政府に警鐘鳴らした作家達であったのじゃ。」

便利な世の中になることで追いやられる者達。
サミアちゃんとは時間の流れが違うにしろ、どんなに寂しい思いをしたのだろう?
イギリスやイーデスさんが恋しくはならなかったのかな?

「あぁ、少年よ。子供がワシに同情する必要はない。
イーデスはヘビースモーカーが祟って、舌癌になり66才で亡くなった。
煙草の煙と砂の妖精は、所詮、一緒には暮らせぬ運命だったんじゃよ…。」

200年も生きてると、きっと何人もの死を見てきたんだろう。
たった11年しか生きてない僕にはわからないけど。

「ねぇ、それよりも今日のお願い言っていい?
サミアちゃんが苦労してきたのはわかるけど、やっぱり私は私で願い事があるの!」

「勿論じゃ。子供がワシに遠慮する必要はない。
但し…。」

「わかってるわよ!一回限りで、効果は日没まで。私も無駄にならない願いを、夕べ考えたんだから!」

いつでも燿子ちゃん は自分に素直だ。

「金銀財宝が日没とともに石になっても駄目。
『お姫様になりたい』で遥か未開の部族と養子縁組されるのもご免だわ!
『美人になりたい』もずっと続かなきゃ無意味。
だから考えたの。
『イケメン家庭教師に勉強を教わりたい』よ。」

そうか、「テストで100点」とか「賢くなりたい」で日没とともに元通りじゃ駄目だ。
でも自分が勉強したことは決して忘れない!

「ほう、ただガサツな少女かと思えば、一晩でそこに気付くとは。
その通り。自ら獲得した『知識』や『記憶』ならば魔法はきっかけで無くなりはせん。
『思い出は永遠に』というやつだな。
だが、『イケメン』とはお前の主観だ。
本来ならワシ基準の『サミアッドのイケメン』を出す所じゃぞ?」

「しまったぁ~。目がカタツムリで耳が蝙蝠の家庭教師なんてイヤぁ!」

「今日はサービスじゃ。燿子の好みを言い直せ。」

「いいの?う~んとね、日曜朝のアニメのナイトメア将軍ってわかる?」

「無論じゃ。ワシは片倉先生が好みじゃがのう」