「あ~電池がなくなる~!」
「賢司くん、また~?今日こそレアモンスターをゲットしようって言ったのに~。」
「ごめん…、燿子(ようこ)ちゃん。」
いつからだろう?
「外で遊ぶ」
が、近所の公園でポータブルゲームの協力プレイすることを意味するようになったのは。
「ねぇ、塾の送迎バスが来るまでまだ時間があるから、たまには『昔』に戻ってさ…。」
さっきまでゲーム機の液晶画面をひたすら注視していたけど、視線を上げれば「公園」の景色が広がる。
二組のブランコ、三連の段違いの鉄棒、滑り台の先には
「砂場」
同じ五年生の燿子ちゃんが「昔」と言うのも変だけど、たまには砂遊びもいいかもしれない。
「汚いから」「危ないから」と何でも禁止される僕達。
幸い、僕達は指先がアレルギー体質ってわけじゃないし、この公園から「ガラス片」とかペットの犬が…。って話は聞いたことがない。
二人で一つのお山をつくり、てっぺんに棒を立てる。交互に山を削り取る「棒倒し」or「山崩し」だ。
「また賢司くんの負け~♪」
いつも僕にだけ偉そうな態度を取る燿子ちゃんは、遊びに熱中してるその時は凄く無邪気だ。
送迎バスの時間が気になり出したころ、再び砂山をつくる。
今度は棒を立てず、向かい合った先から穴を掘る。無事にトンネルが「開通」すれば、僕達は泥まみれの手を強く握り合うのだけど…。
「ねぇ、賢司…くん?」
「うん、僕も燿子ちゃんと同じこと考えてた。
このブニブニした感触…。」
「ワサワサとまとわりついた感触もよ…。まさか事件的な…?」
『絶対に何か居る!』
おかしいよ、何回も山をつくっては埋めて、感覚は知ってるのに…。
僕達の恐怖を逆撫ですかのように、「それ」は僕達に声をかけ、姿を現した。
「お前達からワシを認識するとは…。120、イヤ、130年ぶりかのう?」
『出たー!』
仙人みたいな口の聞き方とは裏腹に、砂場から出てきたのは金髪カールの同い年くらいの女の子!?
「外国人の女の子の死体が蘇ったー?」
「落ち着け、少年少女よ。
ワシはサミアッド。
ロンドンから船に乗ったのは140年前じゃから、外国人かもしれんのう。
今のワシは気分がいい。
特別にお前達の願いを叶えてやろう。但し効果は日没まで。」
三角帽子にマント?についた砂を払いながら言った。
「サミアちゃんって名前?可愛いね!イギリス人かぁ」
燿子ちゃん…。続