「強烈な邪念ヤリティエを感じるです。」
私のポケットの中のアイちゃんが顔を出し、妖精特有の探知能力を発揮してくれます。
魔王軍は店の近くに居ないはずよ。
こんなに誠実にクレープの焼き方を教えてくれてる優矢さんなわけないし…。
えっ?まさか心の中では、私に対してあんなことやこんなことしたいんですか?
駄目です、彼氏はほしいけど、テッペキ!戦士の条件は乙女だから…。
って私の方が邪念まみれだわ!
こんな所でナイトメア将軍に遭遇したら、私は怪人にされちゃう!
あっ、その時はなるべく変身はキャンディの方向で…、うん、ファーストキスはやっぱり…。
「なるほど、邪念の正体は奴らか。」
厨房にまで聞こえる悪漢の声。
お客として来たウチの生徒をしつこくナンパしてる徳川学園の男子達だ。
「自分が黙らせてきます。」
武芸自慢の南部先輩が、男子達に向かおうとすると、
「ここは俺達の店だ。
任せな。」
と、調理の手を止めた優矢さん。
先に止めに入った店員さんは、事態を悪化させてるばかりで…。
「しっかりしろよ純。
店とお客様を守るのも俺達の仕事だろ。」
「すまない優矢。いつもこうゆうことはお前に任せて…。」
「気にするな、俺もお前に助けられてる…。
おい、お前ら。
ウチの店内で迷惑だ。出ていけ。」
「あんだよ、俺達は客だぞ。」
「お前らが居なくても売り上げに影響はない。
店の備品を壊したくないから表出ろ!
見せしめに徹底的にやってやるから覚悟しろ。
これで売り上げが伸びたら一石二鳥だが、俺の時給に関係ない。」
ゆ、優矢さんのセリフが正直過ぎて、正義の味方にはほど遠いんですけど…。
「威勢のいい店員さんだな!
4人相手に…。」
「隙あり!」
表に出る為に、背を向けて一列になった所を容赦ない飛び蹴り!
早い!セコい!汚い!
将棋倒しなった不良達は、出鼻を挫かれ、
「…神足…!」
目にも止まらない素早い攻撃を仕掛け、不良達は退散しました。
「ふぅ、人間の姿ならこれが限界だな。」
え?今なんて…?
優矢さんにお礼を言う女子生徒達。
その時…。
「あの~良かったら一緒に北条祭に…。」
しまった!
あ~ん、先を越された!
千載一遇のチャンスが…と思った時、優矢さんは私を指し
「ごめん、俺はこの柳生さんと一緒に見学したいから断る。」
その時、私はまだ知らなかった。
「ホビットはウソをつけない」と